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「寛厚〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

寛厚の前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
十円札」より 著者:芥川竜之介
るのは語学的天才のためばかりではない。粟野さんはいかにも長者《ちょうじゃ》らしい寛厚《かんこう》の風を具《そな》えている。保吉は英吉利語の教科書の中に難解の個所....
厳島合戦」より 著者:菊池寛
名将である。徳川家康と北条早雲とを一緒につきまぜて、二つに割った様な大将である。寛厚慈悲家康に過ぐるものがある。其の謀略を用いる点に於ては家康よりはずっと辛辣で....
運命」より 著者:幸田露伴
多かりき。太子|亡せたまいければ、太孫をして事に当らしめたまいけるが、太孫もまた寛厚の性、おのずから徳を植えたもうこと多く、又太祖に請いて、遍く礼経を考え、歴代....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
似である中にも、ことに二代目が色白で面長な俤をよく伝えていて、起居動作にまであの寛厚な長者の風のあった人をしのばせる。故人が生前に、自分の子供を枕もとに呼び集め....
あられ笹」より 著者:宮本百合子
きな、美しさに人間らしく熱中する男であったのだと思う。そういう気質らしい清潔さ、寛厚さ、こころの視角の高さも感じられるのである。 光琳が大成したという宗達の装....
クリスマス・カロル」より 著者:ディケンズチャールズ
ましょうか。」 「もし貴方」と、相手は彼の手を握り緊めながら云った。「かような御寛厚なお志に対しましては、もう何と申上げて宜しいやら、私には――」 「もう何も仰....
霊訓」より 著者:浅野和三郎
尊い。友よ、落ついた、熱心な、そして誠実な哲学者の心を以て心とせよ。又慈悲深く、寛厚にして、常に救いの手をさしのべんとする、仁者の心を以て心とせよ。更に又為すべ....
田七郎」より 著者:田中貢太郎
きだした。武は林児を杖で叩いた。林児はめいらずに武の悪口をついた。武の叔父の恒は寛厚の長者であった。姪があまり怒って禍を招くのを恐れたので、つきだして懲してもら....
レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
たらいいか。確信していたものが崩壊してしまうとは! 社会の鎧《よろい》の欠陥が寛厚なる一罪人によって見いだされ得るのか。法律の正直なる僕《しもべ》が、ひとりの....
次郎物語」より 著者:下村湖人
う仕合わせなことであったろう。権田原先生の教え子に対する愛には、深い思想があり、寛厚で、しかも枯淡な人格のひらめきがあった。そしてその愛の表現には、次郎が強いて....
地上」より 著者:島田清次郎
本当にこんないいお邸はどこへいってもない」と言ったように、家庭の二人は女中達には寛厚で、しかも未発の偉大な力を源泉に蓄えている立派な「主人」であるらしかった。し....
三国志」より 著者:吉川英治
は漢朝の同流同族。のみならず、こんどの旅行中、諸州のうわさを聞いても、彼は仁慈、寛厚、まれに見る長者であると、一世の人望を得ています」 「だが、その劉玄徳とは、....