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「寝棺〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

寝棺の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
文章」より 著者:芥川竜之介
中《うち》に読経《どきょう》の切れ目へ来ると、校長の佐佐木中将はおもむろに少佐の寝棺《ねがん》の前へ進んだ。白い綸子《りんず》に蔽《おお》われた棺《かん》はちょ....
葬儀記」より 著者:芥川竜之介
ら、順々に柩の後ろをまわって、出て行ってくれという合図《あいず》だろう。 柩は寝棺《ねかん》である。のせてある台は三尺ばかりしかない。そばに立つと、眼と鼻の間....
馬の脚」より 著者:芥川竜之介
ち》やっと正気《しょうき》を恢復した時には××胡同《ことう》の社宅に据《す》えた寝棺《ねがん》の中に横たわっていた。のみならずちょうど寝棺の前には若い本願寺派《....
右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
を凝らしました。見ると、男はうしろに長方形の箱を背負って、ちょうどそれは子どもの寝棺のような箱でしたが、その奇妙な箱を相当重そうに背負って、上に雨よけの合羽《か....
右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
いてあるのです。しかも、その裏なる文字がひととおりでない奇怪さでした。 「――寝棺《ねかん》、 三個。 経帷子《きょうかたびら》、 三枚。 水晶数....
右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
ござりましたとな!」 「さよう、それもふたり分ぐらいはゆっくりはいれそうな大きい寝棺でしたよ」 引き取り人のあった場合ならば格別でしたが、この場合の死囚人のご....
右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
匕首《あいくち》これへ――」 差し出したのといっしょに、左右から小者が塩づけの寝棺に近づいて、こじあげるようにしながら、長い青竹で、音蔵のむくろの背を返しまし....
新生」より 著者:島崎藤村
行われた弔いの儀式に列《つらな》った時のことだ。黒い布をかけ、二つの花輪を飾った寝棺が説教台の下に置いてあった。その中には岸本の旧い学友で、耶蘇《やそ》信徒で、....
千曲川のスケッチ」より 著者:島崎藤村
もの、町内の人達、教師、同窓の学生なぞが弔いに集った。Oは耶蘇信者であったから、寝棺には黒い布を掛け、青い十字架をつけ、その上に牡丹の造花を載せ、棺の前で讃美歌....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
った。用意した場所の深さは何尺、横幅何尺、それだけの深さと横幅とがあれば大旦那の寝棺を納めるに充分であろうなぞと佐吉は語る。やがて生々しい土のにおいが半蔵らの鼻....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
の男たちの間に起こる。続いて「フム、ヨウ」の掛け声も起こる。半蔵を葬るためには、寝棺を横たえるだけのかなりの広さ深さもいるとあって、掘り起こされる土はそのあたり....
棺桶の花嫁」より 著者:海野十三
でいた燃えるような緋ぢりめんの長襦袢に着かえさせた。そして静かにミチミの亡骸を、寝棺のなかに入れてやったのであった。 ミチミの蝋細工のような白い面を見ていると....
血曼陀羅紙帳武士」より 著者:国枝史郎
いる左門の部屋は、洞窟の口のように黒く、そこに釣ってある紙帳は、これまた灰白く、寝棺のように見え、それらの物像を背後にして、痩せた、身長の高い左門が、左手に刀を....
ドモ又の死」より 著者:有島武郎
でやって見せるよりしかたがない、あれを持ち込もう。 花田と青島、黒布に被われたる寝棺をかつぎこむ。 とも子 いや……縁起の悪い…… 沢本 全く貴様はどうかしや....
寺町」より 著者:岩本素白
人者だけあって、銘旗を立てた葬列は長々と続いて居るが、柩はその上に高くかつがれた寝棺ではなくて、文豪と謳われた人の亡きがらを載せた一挺の駕籠が、その葬列の中に、....