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「寧ろ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

寧ろの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
大導寺信輔の半生」より 著者:芥川竜之介
はこう言う育ちかたをした彼には少しも興味を与えなかった。それは自然の美しさよりも寧ろ自然の醜さを目のあたりに見せるばかりだった。けれども本所の町々はたとい自然に....
玄鶴山房」より 著者:芥川竜之介
とだった。お鈴はお芳が女中だった時から、彼女を悪人と思ったことはなかった。いや、寧ろ人並みよりも内気な女と思っていた。が、東京の或る場末に肴屋《さかなや》をして....
侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
ございます。 神秘主義 神秘主義は文明の為に衰退し去るものではない。寧ろ文明は神秘主義に長足の進歩を与えるものである。 古人は我々人間の先祖はアダ....
惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
いたろう。然しお前は自分の欠点を隠すことに於ては、中々控目には隠していなかった。寧ろ恐ろしい大胆さを以て、お前の心の醜い秘密を人に知られまいとしたではないか。お....
霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
媒者が家庭的であるか否かには、大なる関係がなさそうである。否、家庭的なものの方が寧ろ不純物の夾雑する憂なく、却って委曲を尽し得べしとさえ考えらるるのである。 ....
霊訓」より 著者:浅野和三郎
若しも読者にして、ゆっくり味読さるるならば、其の分量の少なきを憂えず、得るところ寧ろ甚だ多かるべきを信ずるものである。 近代の霊媒の中で、モーゼスの如き学者的....
江口渙氏の事」より 著者:芥川竜之介
だ。 最後に創作家としての江口は、大体として人間的興味を中心とした、心理よりも寧ろ事件を描く傾向があるようだ。「馬丁」や「赤い矢帆」には、この傾向が最も著しく....
久米正雄氏の事」より 著者:芥川竜之介
でしょう。 勿論田舎者らしい所にも、善い点がないと云うのではありません。いや、寧ろ久米のフォルトたる一面は、そこにあるとさえ云われるでしょう。素朴な抒情味など....
小杉未醒氏」より 著者:芥川竜之介
ている。僕も実際初対面の時には、突兀たる氏の風采の中に、未醒山人と名乗るよりも、寧ろ未醒蛮民と号しそうな辺方|瘴煙の気を感じたものである。が、その後氏に接して見....
滝田哲太郎氏」より 著者:芥川竜之介
目先生の滝田君を金太郎と呼ばれたのも当らぬことはない。しかしあの目の細い所などは寧ろ菊慈童にそっくりだった。 僕は大学に在学中、滝田君に初対面の挨拶をしてから....
豊島与志雄氏の事」より 著者:芥川竜之介
豊島は僕より一年前に仏文を出た先輩だから、親しく話しをするようになったのは、寧ろ最近の事である。僕が始めて豊島与志雄と云う名を知ったのは、一高の校友会雑誌に....
瘠我慢の説」より 著者:石河幹明
のにあらず、殊にすでに世間に伝わりて転々伝写の間には多少字句の誤なきを期せざれば寧ろその本文を公にするに若かざるべしとて、これを先生に乞うて時事新報の紙上に掲載....
大利根の大物釣」より 著者:石井研堂
れば、其の太さ燐寸の軸木ほどにて、丈け一寸に近く、屈曲の度は並の型より、懐狭く、寧ろひょっとこに近く、怪異なり。漁史自ら「鈎政」に型を授けて、特に造らせしものに....
茸をたずねる」より 著者:飯田蛇笏
き出でて両頬を伝うて流れ下るようになる。拭っている暇がない。暇がないというよりは寧ろ拭い去る必要を感じない。眼などへ沁み込んで多少刺戟さるることもあるが、それら....
本所両国」より 著者:芥川竜之介
僕等はこんなにたくさんの人間のいることを神の愛の証拠と思うことは出来ない。いや、寧ろ全能の主の憎しみの証拠とさえ思われるであろう。しかし本所の或場末に小学生を教....