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寸時
「寸時〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
寸時の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「鼻」より 著者:ゴーゴリニコライ
けに五等官と来てやあがる。】 彼は相手の傍らに立って咳払いをしはじめたが、鼻は
寸時もその信心深そうな姿勢をくずさず、しきりに礼拝している。 「もし、貴下《あな....
「器楽的幻覚」より 著者:梶井基次郎
白い手がたとえあの上で殺人を演じても、誰一人叫び出そうとはしないだろう」 私は
寸時まえの拍手とざわめきとをあたかも夢のように思い浮かべた。それは私の耳にも目に....
「藤十郎の恋」より 著者:菊池寛
ばいい寄ろうと、始終念じてはいたものの、若衆方の身は、親方の掟が厳しゅうてなあ。
寸時も己が心には、委せぬ身体じゃ。ただ心だけは、焼くように思い焦がれても、所詮は....
「山崎合戦」より 著者:菊池寛
自らの心安立ての打擲なら、或は辛抱するかも知れないが、小姓などを使って殴られて、
寸時も辛抱するわけはないと思う。そんな事があれば、その場で抵抗するか、或は切腹し....
「獄中記」より 著者:大杉栄
戦慄する。一夜のうちに少なくとも二、三十カ所は噛まれるのだもの、痛くてかゆくて、
寸時も眠れるものじゃない。僕が二、三日して巣鴨に帰ると、獄友諸君からしきりに痩せ....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
現世の執着があり、霊界には霊界の苦労があります。わたくしなどは今が修行の真最中、
寸時もうかうかと遊んでは居りませぬ。あなたは今斯うしている私の姿を見て、ただ一人....
「獄中消息」より 著者:大杉栄
する。一夜のうちに少なくとも二、三十カ所はかまれるのだもの、痛いやらかゆいやら、
寸時も眠れるものじゃない。加うるに書物はなし、昼夜時の過しようがない。わずか二、....
「老夫婦」より 著者:黒島伝治
ように見えないでもない女が、清三の手を握らんばかりに何か話しかけていた。清三は、
寸時、じいさん達を連れているのを忘れたかのように女に心を奪われていた。じいさんと....
「「太平洋漏水孔」漂流記」より 著者:小栗虫太郎
た、私が是非しなければならぬことが、まるで堰切った激流のように迸しってくる。私は
寸時でも、脳力を恢復したことを悦ばねばならない。 それは、私が痴愚になったとい....
「瘠我慢の説」より 著者:木村芥舟
に塾員に命じ、来て予が家に宿泊せしめ、昼夜警護せられたることあり。その厚意今なお
寸時も忘るること能わず。 江戸|開城の後、予は骸骨を乞い、しばらく先生と袂を分....
「歌麿懺悔」より 著者:邦枝完二
五 この後、金兵衛の姿は、常に魔の如く、歌麿の脳裡にこびりついて、
寸時も消えることがなかった。 その金兵衛に、ところもあろうに、初めて訪ねた陰女....
「仲々死なぬ彼奴」より 著者:海野十三
うか。 喜助は、口を大きく開いて、苦しそうにハァハァ喘ぎながら、竹筒の表面から
寸時も眼を放たなかった。式場の青山斎場では既に読経が始まっている頃であろう。死に....
「藤十郎の恋」より 著者:菊池寛
があらば云い寄ろうと、始終念じてはいたものの、若衆方の身は親方の掟が厳しゅうて、
寸時も心には委せぬ身体じゃ。ただ心は、焼くように思い焦れても、所詮は機を待つより....
「童話を書く時の心」より 著者:小川未明
なければならぬものです。同時に、正純な美について、愛について、また平和について、
寸時も関心を怠ってはならぬと思うのであります。この種の児童文学こそ、次の新社会を....
「フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
酷と暴虐とはこの工場の空間のあらゆる隅々までにも及んでいるのだ。あの無量生産から
寸時の隙なく引きずられこづき廻わされている人夫たちの沈黙の苦力と繁忙とは見る目も....