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対照
「対照〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
対照の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
の声がはるかな青空の向うから、時々笛を吹くように落ちて来た。
彼は、この自然と
対照させて、今さらのように世間の下等さを思い出した。下等な世間に住む人間の不幸は....
「路上」より 著者:芥川竜之介
ながら、埃臭《ほこりくさ》い周囲の古本と相手のけばけばしい服装との間に、不思議な
対照を感ぜずにはいられなかった。
藤沢は大英百科全書の棚《たな》に華奢《きゃし....
「葬儀記」より 著者:芥川竜之介
》が三つすえてある。それが、その下に、一面に並べてある安直な椅子《いす》と、妙な
対照をつくっていた。「この曲禄を、書斎の椅子《いす》にしたら、おもしろいぜ」――....
「樗牛の事」より 著者:芥川竜之介
くだらないという心もちは取消しようがない。第一、そばに立っている日本風のお堂との
対照ばかりでも、悲惨なこっけいの感じが先にたってしまう。その上荒れはてた周囲の風....
「或る女」より 著者:有島武郎
に対して、素性《すじょう》が知れぬほど顔にも姿にも複雑な表情をたたえたこの女性の
対照は、幼い少女の注意をすらひかずにはおかなかった。乗客一同の視線は綾《あや》を....
「或る女」より 著者:有島武郎
その長く感じられるほうの期間には、倉地と愛子との姿が不安と嫉妬《しっと》との
対照となって葉子の心の目に立ち現われた。葉子の家を預かっているものは倉地の下宿か....
「星座」より 著者:有島武郎
白石文集、ことに「折焚《おりた》く柴《しば》の記《き》」からの綿密な書きぬきを
対照しながら、清逸はほとんど寒さも忘れはてて筆を走らせた。彼はあらゆる熱情を胸の....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
。」 荷物を引立てて来て、二人で改札口を出た。その半纏着と、薄色背広の押並んだ
対照は妙であったが、乗客はただこの二人の影のちらちらと分れて映るばかり、十四五人....
「三つの窓」より 著者:芥川竜之介
った。…… 若い楽手の戦死に対するK中尉の心もちはこの海戦の前の出来事の記憶と
対照を作らずにいる訣はなかった。彼は兵学校へはいったものの、いつか一度は自然主義....
「春の潮」より 著者:伊藤左千夫
に出逢うた心持ちであろう。限りなき嬉しさの胸に溢れると等しく、過去の悲惨と烈しき
対照を起こし、悲喜の感情相混交して激越をきわむれば、だれでも泣くよりほかはなかろ....
「五色温泉スキー日記」より 著者:板倉勝宣
何しろ三十以上四十ぐらいの人もいるようだ。孝ちゃんも一緒で日英独の山登りは面白い
対照だ。この前登った崖も今日は楽に登って風雪に弱ったところを列をつくって登って行....
「かんかん虫」より 著者:有島武郎
立ち竝んだ例のセミオン船渠や、其の外雑多な工場のこちたい赤青白等の色と、眩るしい
対照を為して、突っ立った煙突から、白い細い煙が喘ぐ様に真青な空に昇るのを見て居る....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
、今日はわざわざ老人の姿に化けて出現てまいった。人間と談話をするのに竜体ではちと
対照が悪いのでな……。』 そう言って私の顔を見て微笑れました。私はこんな立派な....
「茶の湯の手帳」より 著者:伊藤左千夫
の茶の湯と、全然同じでないは云うまでもないが、頗る類似の点が多いと聞いて、仮りに
対照して云うたまでなれど、彼の特美は家庭的日常時な点にある、茶の湯の特長は純詩的....
「戦争史大観」より 著者:石原莞爾
マ民族に近きフランスが、欧州大戦初期に行なえる会戦指導方針と対比し、ここに面白き
対照を与う。また、その使用せる武力の性質によりしといえども、ドイツ民族より前者の....