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射込む
「射込む〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
射込むの前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「海に生くる人々」より 著者:葉山嘉樹
てしまうんだ。彼は自分が二度も沈没に際会した時の事を思い浮かべては、その難破船に
射込むような目を投げていた。 その小さな五百トンぐらいの小蒸汽船は、北海道沿岸....
「蟹工船」より 著者:小林多喜二
た。小寒い雨がまだ止んでいなかった。四囲にもりもりと波がムクレ上ってくると、海に
射込む雨足がハッキリ見えた。それは原始林の中に迷いこんで、雨に会うのより、もっと....
「もの思う葦」より 著者:太宰治
所に、射込んだふうの矢を真実と呼んでほめそやす。けれども、そんな判り切った弱さに
射込むよりは、それを知っていながら、わざとその箇所をはずして射ってやって、相手に....
「石狩川」より 著者:本庄陸男
先で叫んだ。
「どうやら堀さんのようじゃの」と阿賀妻は眼をほそめた。直接に先方に
射込むようなよく徹《とお》る声でまッ直ぐに云った。よろこびが彼の顔にみなぎった。....
「ドグラ・マグラ」より 著者:夢野久作
振返ってニヤニヤと冷笑した。その瞬間に、その鼻眼鏡の二つの硝子玉が、南側の窓から
射込む青空の光線をマトモに受けて、真白く剥き出された義歯と共に、気味悪くギラギラ....
「われらの家」より 著者:宮本百合子
て、家への通路らしい落付きは何処にも無かった。 朝、日が昇ると一緒に硝子窓から
射込む光線が縞に成って寝室に流れ込むほど、建物も粗末だった。 五つの年から、畑....
「ガリバー旅行記」より 著者:スウィフトジョナサン
十名が立会のうえで、あなたを地面に寝かせ、あなたの眼球に、鋭く尖った矢を、何本も
射込む手筈になっています。 私はたゞ、ありのまゝを、あなたにお知らせしたのです....
「少年の死」より 著者:豊島与志雄
りの格子先の四畳半に彼は寝かされた。枕頭の煤けた櫺子窓からほの白い夜明けの光りが
射込むのを見ながら、うとうととして表を通る人の足音や車の音を聞いているのが、彼に....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
して音楽というものは、なんと言っても、普遍的な言葉ではない。万人の心に音響の矢を
射込むためには、言語の弓が必要である。 クリストフは、日常生活から鼓吹された一....
「秘密の庭」より 著者:チェスタートンギルバート・キース
では少しもないので、新しい首の所へ行って、眼をしばたたきながら検べた。それは横に
射込む赤い朝陽を受けて、銀白色の火をもって飾られた、ベタベタした白髪の束としか見....
「転向」より 著者:和辻哲郎
うしてその際、自欺の衣を剥ぎ偽善の面をもぐような、思い切った皮肉の矢を痛がる所へ
射込む、ということに、知らず知らず興味を感じていないとは言えない。 私はかつて....
「活人形」より 著者:泉鏡花
らずや見えざるかと、あらゆる部屋を漁り来て、北の台の座敷牢を念のため開き見れば、
射込む洋燈の光の下に白く蠢くもののあるにぞ、近寄り見れば果せるかな、下枝はここに....