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小体
「小体〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
小体の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「善の研究」より 著者:西田幾多郎
できる。意識の範囲は決していわゆる個人の中に限られておらぬ、個人とは意識の中の一
小体系にすぎない。我々は普通に肉体生存を核とせる
小体系を中心としているが、もし、....
「青蛙堂鬼談」より 著者:岡本綺堂
生きた手本がたくさんありますから、田町と今戸辺に五、六軒の家作があるのを頼りに、
小体のしもた家暮らしをすることになりました。 父は若いときから俳諧が好きでして....
「縮図」より 著者:徳田秋声
拍子で行く人もたまにはあるわ。」 つまり好いパトロンがついていない限り、商売は
小体に基礎工事から始めるよりほかなかった。何の商売もそうであるように、金のあるも....
「仮装人物」より 著者:徳田秋声
てこの温泉町を散歩した。町の中心へ来て、彼は小懐かしそうに四辺を見廻した。そして
小体なある旅館の前に立ち止まると、 「ここに玉突き場があったものだ。主人は素敵な....
「足迹」より 著者:徳田秋声
る女が浅草の方で化粧品屋を出している、その女に品物の仕入れ方を教わって、同じ店を
小体に出して見ようという考えであった。 お庄は一月の末に、父親に連れられて一度....
「黴」より 著者:徳田秋声
で永遠の計を立てるつもりで建てた貸家の一つであった。切り拓いた地面に二|棟四軒の
小体な家が、ようやく壁が乾きかかったばかりで、裏には鉋屑などが、雨に濡れて石炭殻....
「一本の花」より 著者:宮本百合子
で、街燈の光が剪定棚の竹や、下の土を森《しん》と照し出している。同じような生垣の
小体《こてい》な門が二つ並んでいる右の方を、朝子は開けた。高く鈴の音がした。磨硝....
「陽炎座」より 著者:泉鏡花
さんが容色望みで娶ったっていうんですから…… 小児は二人あるし、家は大勢だし、
小体に暮していて、別に女中っても居ないんですもの、お守りから何から、皆、お稲ちゃ....
「政談十二社」より 著者:泉鏡花
の花を嗅いでる処を御覧じゃりましたという、吉さんという植木屋の女房でございます。
小体な暮しで共稼ぎ、使歩行やら草取やらに雇われて参るのが、稼の帰と見えまして、手....
「旧聞日本橋」より 著者:長谷川時雨
ち、氷やは腰をかける席がないほどの繁昌《はんじょう》だ。氷やといっても今のように
小体《こてい》な店ではない。なかなか広い店で、巾の広い牀几《しょうぎ》が沢山並ん....
「異妖編」より 著者:岡本綺堂
で、主人は六年ほど前に死にまして、今では後家の女あるじで、小僧ひとりと女中一人、
小体に暮らしてはいますけれど、ほかに家作なども持っていて、なかなか内福だというこ....
「幕末維新懐古談」より 著者:高村光雲
盛りの十六、七では、当てがわれただけの食事では、ややともすれば不足がちなもの……
小体の家ではないことだが、奉公人を使う家庭となると、台所のきまり豆腐か、晩は鹿尾....
「虹の橋」より 著者:久生十蘭
して行った。玄関の二畳、勝手につづく茶の間の六畳、狭い庭をひかえた奥の八畳という
小体《こてい》な住居だが、長火鉢、茶箪笥、鼠入らず、湯こぼしと、品よく、きちんと....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
その時分は、大旦那がお亡くなんなすったあとで、御新姐さんと今のお嬢さんとお二人、
小体に絵草紙屋をしておいでなすった。そこでもお前火災にお逢いなすったんだろうじゃ....
「六号室」より 著者:瀬沼夏葉
、瘠方で察するに彼にはもう肺病の初期が萌ざしているのであろう。 それに続いては
小体な、元気な、頤鬚の尖った、髪の黒いネグル人のように縮れた、すこしも落着かぬ老....