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小切れ
「小切れ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
小切れの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「両国の秋」より 著者:岡本綺堂
な》いところで……」と、お里は恥かしそうに言い訳をしながら、綴《と》じくっていた
小切れを片付けて薄い座蒲団を出した。林之助は長火鉢の前に坐らせられた。お里は茶を....
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
がら、見るからにいかめしい造りでした。 もちろん、お客も町人|下賤《げせん》の
小切れ買いではない。城中お出入りの坊主衆、大奥仕えの腰元お局《つぼね》、あるいは....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
であるかのように感じられた。番頭立会いでその風呂敷を解いてみると、中からは麻袋や
小切れにつつんだ南京玉がたくさんあらわれた。 「何だってこんなに南京玉を買いあつ....
「新版 放浪記」より 著者:林芙美子
かげろうがのぼっている。もうじき五月だ。私の生れた五月だ。歪んだガラス戸に洗った
小切れをベタベタ張っていたお母さんは、フッと思い出した様に云った。
「来年はお前....
「播州平野」より 著者:宮本百合子
べるものはあってのじゃろうか……」 十六 目じるしにビロードの
小切れを結びつけられたリュックが、再び頭の上の網棚にのっている。そのリュックの中....
「風知草」より 著者:宮本百合子
椅子の足許に足台をひきよせてその上にかけ、鼠がかじった米袋の穴をつくろっていた。
小切れを当てて上から縫っている手許を見おろしていた重吉が、 「つぎは、裏からあて....
「めでたき風景」より 著者:小出楢重
ンやルーブル辺りで買ったシュミーズやパジャマ、年末の売出しで買った赤や青の美しい
小切れの類、あるいはノエルの夜店で漁った古道具、モンマルトル辺りで買った人形や古....
「旧聞日本橋」より 著者:長谷川時雨
両側に専属の小僧の名が、三ツも四ツも並べて書きつけてあった。 店さきの諸所に、
小切れをいれた箱が据《すえ》てあった。あたしの祖母は連合《つれあ》いが呉服の御用....
「旧聞日本橋」より 著者:長谷川時雨
まで祖母が中心だった。ある年は、行燈の影絵を写してよろこんだ私だった。ある年は、
小切れをもらってお手玉をつくる小豆《あずき》を、お盆の上で選《よ》っていた。ある....
「お久美さんと其の周囲」より 著者:宮本百合子
と祖母が功徳だと云って貧しい者に施すための、子供の着物だとか胴着だとか云うものを
小切れをはいで縫ったり口も利かずにして居るので、皆から離れたがらんどうな大部屋に....
「放浪記(初出)」より 著者:林芙美子
、モヤモヤ湯気がたっている。 五月だ、私の生れた五月だ。歪んだガラス戸に洗った
小切れをベタベタ張っていたお母さんは、フッと思い出した様に云った。 「来年はお前....
「坑鬼」より 著者:大阪圭吉
鶴嘴を肩にした男が、ギロッと眼だけ光らして通ったかと思うと、炭車を押して腰に絣の
小切れを巻いた裸の女が、魚のように身をくねらして、いきなり飛び出したりした。 ....
「鴎外の思い出」より 著者:小金井喜美子
た狭い部屋で、手廻りの箱や包をぽつぽつ整理しています。他人には何の趣もない紙屑や
小切れでも、皆それぞれに思い出があるものですから、それらを手に取上げて見詰めたり....
「食堂」より 著者:島崎藤村
何でもお三輪にはなつかしかった。藍万とか、玉つむぎとか、そんな昔|流行った着物の
小切れの残りを見てもなつかしかった。木造であったものが石造に変った震災前の日本橋....
「明治劇談 ランプの下にて」より 著者:岡本綺堂
むをえないのである。押絵の似顔を巧みに描く人もだんだんに減じてゆくらしい。衣裳の
小切れも悪くなった。いや、こんな事ばかり言っていると、余りに老いの繰り言じみるか....