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「小布〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

小布の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
省線電車の射撃手」より 著者:海野十三
常はないか」と聞いたのは炯眼だった。屍体の纏っていた衣服の左ポケットに、おかしな小布が入っていた。それは丁度シャツの襟下に縫いつけてある製造者の商標に似て、大き....
金魚撩乱」より 著者:岡本かの子
に穴を開けられて、青みどろの水の中を勝手に引っぱられて行く、脆いだらしのない赤い小布の散らばったものを金魚だと思っていた。七つ八つの小池に、ほとんどうっちゃり飼....
母子叙情」より 著者:岡本かの子
屋には大きい瓦斯ストーヴがもはやとうに火の働きを閉されて、コバルト色の刺繍をした小布を冠されていた。かの女が倫敦から買って帰ったベルベットのソファは、一つ一つの....
千曲川のスケッチ」より 著者:島崎藤村
さんの娘だ。 豊野で汽車を下りた。そのあたりは耕地の続いた野で、附近には名高い小布施の栗林もある。その日は四阿、白根の山々も隠れてよく見えなかった。雪の道を踏....
若草物語」より 著者:オルコットルイーザ・メイ
とき、「巡礼ごっこ」の遊びをしたことおぼえていますか? みんなせなかに、あたしの小布のふくろをしょって、帽子をかぶり杖をつき、まいた紙をもって、破滅の市の地下室....
或る男の手記」より 著者:豊島与志雄
を窺ったりして、それから妙に涙ぐんだような眼付で、俊子の側にいつまでも坐り込んで小布を弄ったりしていた。次の子の秀夫は何事にも無頓着で一人で騒ぎ廻っていたが、い....
同胞」より 著者:豊島与志雄
中にはいっていた。そしてその真中に、若々しい髪の結い方をした中年の女が、膝の上に小布をのせて、縫い物か何かをしていた。眉と眼との間が少しつまった、揉上の長い、肥....
田園の幻」より 著者:豊島与志雄
とをやってきた男らしいが、村に引込んでからは、お上さんと二人でその小店を初めた。小布や化粧品などのストックをたくさん持ってるとの噂もある。川崎あたりの工場か酒場....
女心の強ければ」より 著者:豊島与志雄
。その甲李の中に、さまざまな裁ち布が一杯、各種の色彩を氾濫濫」]さしている。その小布から手頃なのを選り取って、久恵と敏子は人形の着物を拵えていた。久恵の賃仕事と....
白塔の歌」より 著者:豊島与志雄
ませんでした。 その楊柳の一本の影に、黒眼鏡の青年は急に立止って、内隠しから、小布に包んだ物を取出し、汪紹生に差出しました。 「お頼みのものです。古物だが、ま....
私の小売商道」より 著者:相馬愛蔵
驚いた。彼はすべてのことに通じて居るのみならず、絶対に物を粗末にしない。紙一枚、小布一片といえども貴重品の如く大切にする。例えばチョコレート製造の際に使用するハ....
だいこん」より 著者:久生十蘭
に橋頭堡をつくり、臨戦配備について緊張していた二日目の夜、特派員のクラブへ頭に色小布《バンダナ》をつけた漫画のベティにそっくりのモースーメがとびこんできて、ある....
豆腐買い」より 著者:岡本かの子
民のおかみさんとの問答を思い起した。おかみさんはいった。「ロンドンの横町は光線の小布れしか売って呉れません」市長は溜息をついて言った。「只である筈の日光と空気に....
ノンシャラン道中記」より 著者:久生十蘭
《ブラストロン》のごとき、和製の真綿のチョッキを着込み、腹と腰に花模様の華やかな小布団《クッサン》を巻き付けたのは、多分防寒のためというよりは、街上に投げ出され....
澪標」より 著者:外村繁
他はなかった。 私は十二月生れであるから、数え年二十二で徴兵検査を受ける。前に小布を当てただけの、全裸に近い恰好で全身を検査される。性器の検査の次ぎは、肛門の....