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「小形〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

小形の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
星座」より 著者:有島武郎
* * * 札幌に来る時、母が餞別《せんべつ》にくれた小形の銀時計を出してみると四時半近くになっていた。その時計はよく狂うので、あまり....
生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
きの事務椅子に腰かけて、黒い事務マントを羽織った悒鬱そうな小柄な若い男が、一心に小形の書物に読みふけっている。それはKと言って、君が岩内の町に持っているただ一人....
春の潮」より 著者:伊藤左千夫
…そうそう時計をおやんなさい」 「なるほど私は東京へゆけば時計はいらない、これは小形だから女の持つにもえい」 駅夫が千葉千葉と呼ぶ。二人は今さらにうろたえる。....
間諜座事件」より 著者:海野十三
にガチャリと鍵をかけると、帆立が云った。 「ウン、これだ」 弦吾は掌を開くと、小形のたばこやマッチを示した。酔払いから素早く手渡された秘密のマッチ箱だった。小....
ゴールデン・バット事件」より 著者:海野十三
師は鍵を外して、ガラガラとその扉を開くと、黒いレッテルや赤いレッテルの貼ってある小形の壜が、気味のわるい圧力を私達の上になげつけた。 帆村は隅から一つずつ、そ....
海神別荘」より 著者:泉鏡花
てただ据えらる。その椅子を斜に下りて、沖の僧都、この度は腰掛けてあり。黒き珊瑚、小形なる椅子を用いる。おなじ小形の椅子に、向って正面に一人、ほぼ唐代の儒の服装し....
怪塔王」より 著者:海野十三
に見えましたが、その先を起すと、蝸牛が角をはやしたようになります。覗いて見ると、小形に似ずなかなか大きく、かつはっきりと見えます。 「どうだね、塔がよく見えるだ....
売色鴨南蛮」より 著者:泉鏡花
ら、日蔭ものでもお千は御主人。このくらいな事は当然で。 対の蒲団を、とんとんと小形の長火鉢の内側へ直して、 「さ、さ、貴女。」 と自分は退いて、 「いざまず....
薄紅梅」より 著者:泉鏡花
色は青黒いようだけれども、目鼻立の、上品向きにのっぺりと、且つしおらしいほど口の小形なのが、あまつさえ、長い指で、ちょっとその口元を圧えているのは、特に緞子の袴....
伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
合もなかった、客は別に騒ぎもせず、さればって聞棄てにもせず、何の機会もないのに、小形の銀の懐中時計をぱちりと開けて見て、無雑作に突込んで、 「お婆さん、勘定だ。....
」より 著者:秋田滋
の婦人の死体を掘り出して、今しもそれを墓穴から引ッぱり出そうとしているのだった。小形の龕燈が一つ、掘り返した土塊のうえに置いてあり、その灯がこの見るに忍びない光....
橋の上」より 著者:犬田卯
ちゃんの腕力が怖いばかりに、誰も彼もさぶちゃんの好きそうなもの――メダルだとか、小形の活動本だとか、等々を彼に与えて、彼の機嫌を取り、その庇護の下に小さい自負心....
夫人利生記」より 著者:泉鏡花
臭う中に、芬と白檀の薫が立った。小さな仏師の家であった。 一小間硝子を張って、小形の仏龕、塔のうつし、その祖師の像などを並べた下に、年紀はまだ若そうだが、額の....
卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
十銭というのを、はじめは一|尾の値だろうと思うと、十ウあるいは十五だから、なりは小形でもお話になる。同じ勢をつけても、鯛の方はどうやら蒼鬣魚より売手が上品に見え....
甲州郡内妖怪事件取り調べ報告」より 著者:井上円了
ず杉本氏につきて同女の履歴をたずねしに、彼女はその名を「とく」といい、同国都留郡小形山の産にして、早く父をうしない母の手に育てられしが、十一歳のときより杉本氏の....