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小糠
「小糠〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
小糠の前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「新版 放浪記」より 著者:林芙美子
うねとおっしゃったきりだった。やがて、私は、お二人に別れた。二人に別れて、やがて
小糠雨《こぬかあめ》を羽織に浴びながら、団子坂の文房具屋で原稿用紙を一|帖《じょ....
「共同耕作」より 著者:宮本百合子
、小気味がいいやら! 若いとめは体じゅう燃えるような気持だ。共同耕作の三十人は、
小糠雨の中を躍るようにマンノーを振りかぶり、猶も、 うなっちゃえ! うなっち....
「聟」より 著者:宮本百合子
息子が一人あってくれたらねえ」 信じきった眼つきで詮吉を見て笑った。 昔から
小糠三合もったら養子に行くなというくらいだから、御覧のとおり何一つないうちへ来て....
「伸子」より 著者:宮本百合子
た。伸子はその夜は赤坂へ戻った。 朝になると、昨夜は星が綺麗に見えていたのに、
小糠雨《こぬかあめ》が降っていた。その中に、とよが、傘もささず、池を覗いていた。....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
をそのまま、窪地のあちこちには、草生がむらむらと、尾花は見えぬが、猫じゃらしが、
小糠虫を、穂でじゃれて、逃水ならぬ日脚の流が暖く淀んでいる。 例の写真館と隣合....
「長崎の印象」より 著者:宮本百合子
るといきなり云うことには、 「――どうだった? プティ・ペダント」 二時頃から
小糠雨が降り出す。長崎に切支丹伝道が始って間もなく建った、とーどのさんた寺の跡だ....
「長崎の一瞥」より 著者:宮本百合子
長崎は雨の尠いところだそうだのに、今朝も、雲母《きらら》を薄く張ったような空から
小糠雨が降って居る。俥で、福済寺へ行く。やはり、南京寺の一つ、黄檗宗に属す。この....
「化鳥」より 著者:泉鏡花
ふちがひやりとして、冷たい風が頬を撫でた。 その時仮橋ががたがたいって、川面の
小糠雨を掬うように吹き乱すと、流が黒くなって颯と出た。といっしょに向岸から橋を渡....
「穴」より 著者:蘭郁二郎
毎日毎日、気がくさくさするような霖雨が、灰色の空からまるで
小糠のように降り罩めている梅雨時の夜明けでした。丁度宿直だった私は、寝呆け眼で朝....
「放浪記(初出)」より 著者:林芙美子
しばしばさせて、「そうね……。」私はお二人に別れようと思った。 二人に別れて、
小糠雨を十ちゃんの羽織に浴びながら、団子坂の文房具屋で、原稿用紙を一帖買ってかえ....
「宮本武蔵」より 著者:吉川英治
おり、大悟の眼をふさいで、もう生きる気も捨て、死ぬ気もすて、颯々と夜を吹くかぜと
小糠星の中に、骨の髄まで、冷たくなってしまったもののようであった。 ……すると....
「宮本武蔵」より 著者:吉川英治
物なのだ。――その石舟斎に、いや武蔵のような無禄無名の一放浪者にくらべれば、月と
小糠星ほども格のちがう大先輩に見参に入るのだ。 襟をただし、髪を撫でるのは、当....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
うこの歌が誘う真実なさけびもまにあわなかった。……まもなく、二月二十六日の春寒い
小糠雨の朝は明けていた。 尊氏は魚見堂を出、敗残の兵千ばかりが、その前後にした....