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小綺麗
「小綺麗〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
小綺麗の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「大導寺信輔の半生」より 著者:芥川竜之介
った。しかし又、本所以外の町々は更に彼には不快だった。しもた家の多い山の手を始め
小綺麗《こぎれい》な商店の軒を並べた、江戸伝来の下町も何か彼を圧迫した。彼は本郷....
「玄鶴山房」より 著者:芥川竜之介
妻のお鈴は茶の間にいなければ、信州生まれの女中のお松と狭い台所に働いていた。
小綺麗《こぎれい》に片づいた茶の間は勿論、文化竈《ぶんかかまど》を据えた台所さえ....
「不思議な島」より 著者:芥川竜之介
ど鏡面《きょうめん》に映《うつ》っているのはこの島の海岸の市街《まち》であろう。
小綺麗《こぎれい》な家々の並んだのが見える。並木の梢《こずえ》に風のあるのが見え....
「奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
手をした。二人の間の茶ぶ台には、大抵《たいてい》からすみや海鼠腸《このわた》が、
小綺麗な皿小鉢を並べていた。
そう云う時には過去の生活が、とかくお蓮の頭の中に....
「路上」より 著者:芥川竜之介
て貰ったので、畳《たたみ》建具《たてぐ》も世間並の下宿に比べると、遥《はるか》に
小綺麗《こぎれい》に出来上っていた。彼はその部屋へ大きな西洋机《デスク》や安楽椅....
「少年」より 著者:芥川竜之介
仏の石壇のまわりはほとんど鳩で一ぱいだった。が、どの鳩も今日《こんにち》のように
小綺麗《こぎれい》に見えはしなかったらしい。「門前の土鳩《どばと》を友や樒売《し....
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
だ余裕もあろうと云うので、あれから一つ目の方へ曲る途中、看板に藪《やぶ》とある、
小綺麗な蕎麦屋《そばや》を一軒見つけて、仕度|旁々《かたがた》はいったそうです。....
「地球発狂事件」より 著者:海野十三
ます」 ボーイ頭が心得顔に先に立って案内した。 そこは柱の蔭になっていたが、
小綺麗に飾ったいい席だった。彼は強い酒を注文した。ボーイが去ると、すぐ女が来た。....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
児が硝子扉に手をかけた時であった。――銀杏返しに結った、三十四五の、実直らしい、
小綺麗な年増が、ちょうど腰掛けの端に居て、直ぐにそこから、扉を開けて、小児を迎え....
「銀座幽霊」より 著者:大阪圭吉
「カフェ・青蘭」と書かれた、裏露路にしてはかなり大きなその店の前には、恒川と呼ぶ
小綺麗な煙草店があった。二階建で間口二|間足らずの、細々と美しく飾りたてた明るい....
「獄中記」より 著者:大杉栄
んだな。」 と思いながら僕は突っ立ったまままずあたりを見廻した。三畳敷ばかりの
小綺麗な室だ。まだ新しい縁なしの畳が二枚敷かれて、入口と反対の側の窓下になるあと....
「五色温泉スキー日記」より 著者:板倉勝宣
頼んで、人夫をついでに頼んだ。雪の世界に固有な静けさといかにも落ちついた気分が、
小綺麗な炉にも黒ずんだ柱にも認められる。 まだ五色にはスキーのお客は一人もいな....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
、小米と小豆の生一本でござります。」 と小さな丸髷を、ほくほくもの、折敷の上へ
小綺麗に取ってくれる。 扇子だけ床几に置いて、渋茶茶碗を持ったまま、一ツ撮もう....
「歯車」より 著者:芥川竜之介
。僕は何ものかの好意を感じ、その本屋の店へはいって行った。そこもまたふだんよりも
小綺麗だった。唯|目金をかけた小娘が一人何か店員と話していたのは僕には気がかりに....
「米」より 著者:犬田卯
ていた。 「用もない、体温計など来てやがる。」 全く呆れたことに、その体温計が
小綺麗な箱へ入って配給されて来ていた。それは農村人への衛生思想注入のため、どこか....