小麦[語句情報] »
小麦
「小麦〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
小麦の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
るまでに一部分しか耡起《すきおこ》されなかったけれども、それでも秋播《あきまき》
小麦を播《ま》きつけるだけの地積は出来た。妻の勤労のお蔭《かげ》で一冬分《ひとふ....
「デンマルク国の話」より 著者:内村鑑三
林成功後のかの地の農業は一変しました。夏期の降霜はまったく止《や》みました。今や
小麦なり、砂糖大根なり、北欧産の穀類または野菜にして、成熟せざるものなきにいたり....
「恐竜艇の冒険」より 著者:海野十三
し》してしまうからね」 「ははーん、なるほど」 「第二の例。上甲板に、虫のついた
小麦粉を陽《ひ》に乾《ほ》してある。それを中へ入れるのを忘れて、その潜水艦が海の....
「家霊」より 著者:岡本かの子
内側に斜めに帳場格子を控えて永らく女主人の母親の白い顔が見えた。今は娘のくめ子の
小麦色の顔が見える。くめ子は小女の給仕振りや客席の様子を監督するために、ときどき....
「銀座幽霊」より 著者:大阪圭吉
た二人の調和が、みるみる乱れて来た。澄子と呼ぶ二十を越したばかりのその女店員は、
小麦色の血色のいい娘で、毬のようにはずみのいい体を持っていた。 煙草屋の夫婦喧....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
と云うほどではないが、円らな瞳と青磁に透いて見える眼隈と、それから張ち切れそうな
小麦色の地肌とが、素晴らしく魅力的だった。葡萄色のアフタヌーンを着て、自分の方か....
「英本土上陸作戦の前夜」より 著者:海野十三
て、俄に退屈になった。窓外を見ると、空は相変らず、どんよりと曇っている。畠には、
小麦の芽が、ようやく三、四|吋伸びている。ようやく春になったのである。 仏天青....
「若草物語」より 著者:オルコットルイーザ・メイ
もいくらか得意の白い手をしています。 十五になるジョウは、せいが高く、やせて、
小麦色の肌をして、すらりと長い手足をもてあましているようすから、なんとなく仔馬を....
「醜い家鴨の子」より 著者:アンデルセンハンス・クリスチャン
それは田舎の夏のいいお天気の日の事でした。もう黄金色になった
小麦や、まだ青い燕麦や、牧場に積み上げられた乾草堆など、みんなきれいな眺めに見え....
「坑鬼」より 著者:大阪圭吉
盤坑の中からワアーンと坑夫達のざわめきが聞えて来た。汗にまみれた運搬夫の女達が、
小麦色の裸身をギラギラ光らして炭車を押出して来ると、技師は進み出て呶鳴りつけた。....
「スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
とを空想しながら、緑色の大きな眼をぐるぐるさせて、ゆたかな牧草地をながめ、豊穣な
小麦や、ライ麦や、蕎麦や、玉蜀黍の畑を見わたし、赤い実が枝もたわわになっている果....
「母と娘」より 著者:岡本かの子
(と言っても三四人)の子供を養育して居ます。彼等は葡萄を栽培して葡萄酒を造るのと
小麦と牧畜で自給自足するばかりか多量の葡萄酒と
小麦をフランス国中へ売りさばくので....
「瘤」より 著者:犬田卯
てるための苗代ごしらえをしていた。おいおい彼自身も村夫子にかえって野菜作りから麦
小麦、やがて田起しまでやる覚悟だったのだ。 そこへ産業組合の事務をやっている石....
「米」より 著者:犬田卯
――」 おさよが近づいて説明するには、その朝言いつけられたとおり、まだ扱かない
小麦の束を庭へひろげて乾していると、おちえと二人で
小麦束の中へ入って歌などうたっ....
「娘」より 著者:岡本かの子
流へ移る。それを何度も繰返している。 室子は頬を撫でても、胸の皮膚を撫でても、
小麦いろの肌の上へ、うすい脂が、グリスリンのように滲み出ているのを、掌で知り、た....