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少なくとも
「少なくとも〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
少なくともの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
五
しかし、銭湯を出た時の馬琴の気分は、沈んでいた。眇の毒舌は、
少なくともこれだけの範囲で、確かに予期した成功を収め得たのである。彼は秋晴れの江....
「河童」より 著者:芥川竜之介
しょうしゃ》とできあがっていました。もちろんこの国の文明は我々人間の国の文明――
少なくとも日本の文明などとあまり大差はありません。往来に面した客間の隅《すみ》に....
「或る女」より 著者:有島武郎
玄関にはいろいろの足駄《あしだ》や靴《くつ》がならべてあったが、流行を作ろう、
少なくとも流行に遅れまいというはなやかな心を誇るらしい履物《はきもの》といっては....
「或る女」より 著者:有島武郎
ちわびてもい、喜んでもくれるのかと思うと、骨肉《こつにく》の愛着からも、妹だけは
少なくとも自分の掌握の中にあるとの満足からも、葉子はこの上なくうれしかった。しか....
「私の父と母」より 著者:有島武郎
いほど他を顧みないので、狂人のような状態に陥ったことは、私の知っているだけでも、
少なくとも三度はあった。
父の教育からいえば、父の若い時代としては新しい教育を....
「二つの道」より 著者:有島武郎
るが、誠はそうではない。中庸というものは二つの道以下のものであるかもしれないが、
少なくとも二つの道以上のものではない。詭弁《きべん》である、虚偽である、夢想であ....
「片信」より 著者:有島武郎
、理智的であって、それらの考察を自己の情感の底に温めていない憾《うら》みがある。
少なくとも、進んで新生活に参加する力なしとて、退いて旧生活を守ろうとする場合、新....
「広津氏に答う」より 著者:有島武郎
らば、それは純粋にプロレタリア自身が有する思想と活力とによって築かれねばならぬ。
少なくともそういう覚悟をもってその文化を築こうという人は立ち上がらねばならぬ。同....
「星座」より 著者:有島武郎
て示していた態度の劇変《げきへん》しようとしているのを感ぜずにはいられなかった。
少なくともおぬいさんという女性に対しては。
星野のおぬいさんに対する態度はお前....
「追憶」より 著者:芥川竜之介
を見物した大川端の二州楼へ行った。活動写真は今のように大きい幕に映るのではない。
少なくとも画面の大きさはやっと六尺に四尺くらいである。それから写真の話もまた今の....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
続けて言う。『それならばそれらの軌道の離心率は甚だ大きいものでなくてはならない。
少なくともそれらがすべてほとんど円形軌道をもつという蓋然性は非常に少ないであろう....
「妖僧記」より 著者:泉鏡花
を庭前へ差出しぬ。 未だ乞食僧を知らざる者の、かかる時不意にこの鼻に出会いなば
少なくとも絶叫すべし、美人はすでに渠を知れり。且つその狂か、痴か、いずれ常識無き....
「沼夫人」より 著者:泉鏡花
拱き、 「その君の情ある心で、どうか訳を聞いて欲しい。くどい事は言わん。何しろ、
少なくとも君だけには言訳をする責任があると思う。」 医師は潔く、 「承わろう。....
「戦争史大観」より 著者:石原莞爾
インの企図したこの目的を達成したのである。 墺軍は四回の解囲とマントアの降伏で
少なくとも十万の兵力を失った(仏軍の損失は二万五千)。マントア攻囲前の墺軍の損失....
「本所両国」より 著者:芥川竜之介
上を見渡し、確か広重も描いていた河童のことを思い出した。河童は明治時代には、――
少なくとも「御維新」前後には大根河岸の川にさえ出没していた。僕の母の話によれば、....