尠い[語句情報] »
尠い
「尠い〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
尠いの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「世相」より 著者:織田作之助
へ倚り掛れるようになった椅子に並んで掛けた時、私ははじめてほっとしてあたりに客の
尠いのを喜びながら汗を拭いたが、やがて天井に映写された星のほかには彼女の少し上向....
「空襲葬送曲」より 著者:海野十三
焼夷弾と毒瓦斯弾とで一気に、帝都を撲滅するつもりだったらしいですな。爆弾は、割に
尠い。弾痕と被害程度とを比較して、判ります」塩原参謀は、指先で、コツコツと窓硝子....
「疑問の金塊」より 著者:海野十三
日まで犯人は遂に逮捕されない。なにしろ早朝のことだったから、目撃した市民も意外に
尠い。手懸りを探したが、一向に有力なのが集らない。事件は全く迷宮に入ってしまった....
「鶴は病みき」より 著者:岡本かの子
ような方へ触れて行った。麻川氏「女の本当の美人なんてものは、男と同じように仲々|
尠いですね。しかし、男が、ふと或る女を想いつめ、その女にいろいろな空想や希望を積....
「四条畷の戦」より 著者:菊池寛
彼の最大の不幸があると思う。恐らく勝利の悲哀を此の男程痛切に味った者は、国史には
尠いのではなかろうか。 正成と正行 楠氏は元来橘氏の出である。勿....
「死生」より 著者:幸徳秋水
る能わざる克己・禁欲・苦行・努力の生活を為す人々でも、病いなくして死ぬのは極めて
尠いのである、況んや多数の権力なき人、富なき人、弱き人、愚かなる人をやである、彼....
「楢重雑筆」より 著者:小出楢重
いっても職人の仕事でありますから、本当に鑑賞の出来るという出来|栄えのものは頗る
尠いのであります、その中日本出来のものよりも支那出来の古いものに頗るいいのがある....
「油絵新技法」より 著者:小出楢重
において大部分を占めてしまう。 この際になおあくまで絵を描きたがる子供は極めて
尠いものである。 それから中学女学校程度に至ると最早や神様の影は全く消えて充分....
「大切な雰囲気」より 著者:小出楢重
大阪朝日から邦枝完二氏の「雨中双景」の挿絵を頼まれたので、時代ものは背景の関係も
尠いし、居据っていながら描けるので、つい引受けて見たのが挿絵を試みた最初だった。....
「時代色」より 著者:岡本かの子
の都会の青年子女に就て、気持ちの話になって、はっきり一つの意味の言葉を言切る者は
尠い。必ず意味に濁りを打つか取消しの準備を言内に付け加えている。これは相手に向っ....
「キド効果」より 著者:海野十三
から。今から内地の優秀な係官を派してもこれも駄目だった。証拠とすべきものが非常に
尠い上に、悪に長けた三十九名が気を合わせて証拠湮滅をはかるのだから、これは探し出....
「飛騨の怪談」より 著者:岡本綺堂
いよ。馬鹿……。」 「馬鹿……。」 お清は笑いながら奥へ入って了った。人通りの
尠い往来には、小禽が餌を猟っていた。 お葉は其のままふらふらの噂が何となく意に....
「四つの都」より 著者:織田作之助
すか」 水道の栓に口をつけて、水をふくみ、うがいする。 庄造「お前の狸算用よりは
尠いかも知れんぞ」 庄平「はあ……?」 庄造「変な顔をするな。然し、わたしが永年....
「わが町」より 著者:織田作之助
お茶子をした。 そこは貧乏たらしくごみごみとして、しかも不思議にうつりかわりの
尠い、古手拭のように無気力な町であった。 角の果物屋は何代も果物屋をしていて、....
「茸をたずねる」より 著者:飯田蛇笏
背を薄黒く染めて地に低く生え立った猪の鼻という茸は単に一本生えているということは
尠い、多くは十数本もしくは数十本数百本の夥しきに及ぶことがある。親しげな情を動か....