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尨
「尨〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
尨の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「鼻」より 著者:芥川竜之介
ると、中童子は、二尺ばかりの木の片《きれ》をふりまわして、毛の長い、痩《や》せた
尨犬《むくいぬ》を逐《お》いまわしている。それもただ、逐いまわしているのではない....
「蒼穹」より 著者:梶井基次郎
その雲はその地球に面した側に藤紫色をした陰翳《いんえい》を持っていた。そしてその
尨大《ぼうだい》な容積やその藤紫色をした陰翳はなにかしら茫漠《ぼうばく》とした悲....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
の事業の成就を心がける。そして、若し運命がその政治家に苛酷でなかったならば、彼は
尨然たる国家的若しくは世界的大事業なるものを完成する。然しそこに出来上った結果は....
「空襲葬送曲」より 著者:海野十三
よりも二倍近い、巨大なもの、パタビウス号に至っては、空の帝王と呼ばれる途方もなく
尨大な全鋼鉄の怪物で、爆弾だけでも、五十|噸近く、積みこんでいるという物凄い飛行....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
めて問題の一句を闡明する態度に出た。「あの一句は、ゲーテの『ファウスト』の中で、
尨犬に化けたメフィストの魔力を破ろうと、あの全能博士が唱える呪文の中にある、勿論....
「単独行」より 著者:加藤文太郎
登ってきて三ッヶ谷の頂上に立ったことがある。下の方にはちょっと田圃があり、中腹の
尨大な斜面には杉苗が疎らに植林されてあった。しかし頂上附近はやはりブナの大木とス....
「愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
底がなかったために、その崩れ方はじつに脆かった。私は一種の錯誤に陥っていた。私の
尨大なる形而上学的の意識生活を小娘の本能的な愛の上に据えつけた。それが瓦壊の源で....
「二、〇〇〇年戦争」より 著者:海野十三
でなければ、てんで戦争にならないのだからね。旧イネ帝国の敗走兵どもに、そのような
尨大な軍備が整いそうもないじゃないか」 「じゃあ、一体敵は、どこのどいつだろうか....
「流線間諜」より 著者:海野十三
―。帆村は礼もそこそこに、ドンドンと書庫の奥深くへ入っていった。 そこで彼は、
尨大な外国人名大辞林をとりだすと、卓子の上にドーンと置いた。 「デジネフデジネフ....
「かの女の朝」より 著者:岡本かの子
。何処にも延びている線は一つも無い。みんな短かくて括れている。日輪草の花のような
尨大な眼。だが、気弱な頬が月のようにはにかんでいる。無器用な小供のように卒直に歩....
「潜航艇「鷹の城」」より 著者:小栗虫太郎
ン伝説などと、いくつかの抜萃集成にほかならない。 ところが、ワグナーに編まれて
尨大な楽劇になると、はじめて新たな、生々とした息吹が吹きこまれてきた。 それは....
「勧善懲悪」より 著者:織田作之助
シンの広告がどこかの新聞に出ていない日は一日としてなかったくらいだ。しかも、単に
尨大であるばかりでなく、そのあくどさに於いて、古今東西それに匹敵するものは一つと....
「註文帳」より 著者:泉鏡花
暗い店さきへ、顔を出さしったわ。はて、店賃の御催促。万年町の縁の下へ引越すにも、
尨犬に渡をつけんことにゃあなりませぬ。それが早や出来ませぬ仕誼、一刻も猶予ならぬ....
「チベット旅行記」より 著者:河口慧海
こと、一日に非ざりしも、南船北馬暖席に暇なく、かつ二雪霜の間に集積せるところは、
尨然紛雑し容易に整頓すべからずして、自ら慚愧せざるを得ざるものあり。日ごろ旅行談....
「雷門以北」より 著者:久保田万太郎
謂いでも勿論ない。前記書林浅倉屋の屋根のうえに「日本児童文庫」と「小学生全集」の
尨大な広告を見出したとき、これも古い酒店さがみやの飾り窓に映画女優の写真の引伸し....