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尨犬
「尨犬〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
尨犬の前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「鼻」より 著者:芥川竜之介
ると、中童子は、二尺ばかりの木の片《きれ》をふりまわして、毛の長い、痩《や》せた
尨犬《むくいぬ》を逐《お》いまわしている。それもただ、逐いまわしているのではない....
「あらくれ」より 著者:徳田秋声
。あの禿《はげ》あがったような貧相らしい頸《えり》から、いつも耳までかかっている
尨犬《むくいぬ》のような髪毛《かみのけ》や赤い目、鈍《のろ》くさい口の利方《きき....
「鼻」より 著者:ゴーゴリニコライ
すると二ルーブルと七十三カペイカになりましたが、その広告というのが、何でも黒毛の
尨犬《むくいぬ》に逃げられたというだけのことなんで。別に何でもないようですが、じ....
「明暗」より 著者:夏目漱石
しないよ。ありがたいと思って大事にして穿かなくっちゃいけない」
「だってみんなが
尨犬《むくいぬ》の皮だ
尨犬の皮だって揶揄《からか》うんだもの」
藤井の叔父と尨....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
めて問題の一句を闡明する態度に出た。「あの一句は、ゲーテの『ファウスト』の中で、
尨犬に化けたメフィストの魔力を破ろうと、あの全能博士が唱える呪文の中にある、勿論....
「爛」より 著者:徳田秋声
あった。犬は浅井について時々自分の方へも姿を見せたことがあった。 「奥さん、あの
尨犬が電車通りにおりましてすよ。」 買物などに出た女中が、いつかもそう言って報....
「思い出すかずかず」より 著者:宮本百合子
情をした令嬢がいた。その人は、いつでも靴を穿いている。而も、その靴が、子供らしい
尨犬《むくいぬ》のようなのではなく、細く、踵がきっと高く、まるで貴婦人の履き料の....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
をつづけた。 ――彼女は晩餐《ばんさん》会に列していた。大公爵もいた。ミルハは
尨犬《むくいぬ》だった……いや、縮れ毛の羊だった。そして給仕をしていた。……アー....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
の魂へ取りつこうとうかがってる「待ち伏せの怨霊《おんりょう》」、ゲーテのいわゆる
尨犬《むくいぬ》、のようであった。 虚栄心の強い馬鹿者なら、そういう寄生虫の取....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
一匹の犬は他の犬(即ち撃鉄)から人の気を散らさせることもある。ごくやせた一匹の
尨犬《むくいぬ》が通りかかった。ガヴローシュはそれをかわいそうに思った。
「かわ....
「註文帳」より 著者:泉鏡花
暗い店さきへ、顔を出さしったわ。はて、店賃の御催促。万年町の縁の下へ引越すにも、
尨犬に渡をつけんことにゃあなりませぬ。それが早や出来ませぬ仕誼、一刻も猶予ならぬ....
「ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
。
ファウスト
好く見給え。君はあの獣をなんだと思う。
ワグネル
尨犬です。あいつ等の流義で、御苦労にも
見失った主人の跡を捜しているのでございま....
「追放されて」より 著者:神西清
手合に飲み食いをさせるは言わずもがな、ピアノもなくちゃならねえ、安楽椅子の上にゃ
尨犬もいなくちゃならねえ――飛んだお笑い草よ。……一口に言やあ贅沢さ。したい放題....