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尻目
「尻目〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
尻目の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「玄鶴山房」より 著者:芥川竜之介
松はせっせと手を動かしながら、水々しい銀杏返《いちょうがえ》しに結ったお芳を時々
尻目に窺《うかが》ったりしていた。が、この新聞紙の包みを見ると、更に悪意のある表....
「或る女」より 著者:有島武郎
ないでののしり騒ぐ人たちを、自分の生活とは関係のない木か石ででもあるように冷然と
尻目《しりめ》にかけた。
葉子はほんとうをいうと、必要に従うというほかに何をす....
「或る女」より 著者:有島武郎
でしょう」
葉子は冷然として、灯《ひ》の下にうつむいてきちんとすわっている妹を
尻目《しりめ》にかけた。愛子はしとやかに頭を下げて従順に座を立って行った。
そ....
「親子」より 著者:有島武郎
いて行った彼は、あやうく父の胸に自分の顔をぶつけそうになった。父は苦々しげに彼を
尻目にかけた。負けじ魂の老人だけに、自分の体力の衰えに神経をいら立たせていた瞬間....
「空中墳墓」より 著者:海野十三
な顔をした。 「ではいつ御返事願えましょうか」 「明晩までに」 私は驚く相良を
尻目にかけて、きっぱり言った。 「当日お電話しますから、どこへもお出掛けないよう....
「空襲葬送曲」より 著者:海野十三
うに、飛行機は、又|漠々たるプロペラの響をあげ、呆気にとられている「狼」の一団を
尻目に、悠々と空中へ舞い上っていった。 「これで、祖国は救われたッ」 草津大尉....
「海野十三敗戦日記」より 著者:海野十三
たいへん冷える夜だった。敵機が照空灯につきさされながらも、わが砲弾と六百万都民を
尻目に悠々と帰って行くので、さらに寒さを感ずる。夜間戦闘機の武勲もほとんど新聞に....
「火星兵団」より 著者:海野十三
編成せられていた。このロケット兵団は、アルプス山脈地帯にかたまっている火星兵団を
尻目に、空中高く飛出し、示威飛行を始めた。
ところが、その挑戦に応じて、アルプ....
「人造人間エフ氏」より 著者:海野十三
ういうと、イワノフ博士は、正太の頤をがんとつきあげ、正太があっといって倒れるのを
尻目に、すばやく、部屋をとびだした。岩窟の外は、闇であった。イワノフ博士は、懐中....
「雷」より 著者:海野十三
いいか、今夜はいつまでも起きているからネ」 そういうと、恐縮しきっている松吉を
尻目にかけて、北鳴は宿の方へ帰っていった。 それから小一時間経った後のこと、松....
「浮かぶ飛行島」より 著者:海野十三
足蹴にされたと見え、赤い血がたらたらと口から頤の方を染めた。 英国士官はそれを
尻目に、塔の中へかけこんだ。 あとに残った中国人のペンキ工は、後にまわしていた....
「湯女の魂」より 著者:泉鏡花
「よく御存じでございましたね。」 と嘲弄するごとく、わざと丁寧に申しながら、
尻目に懸けてにたりとして、向へ廻り、お雪の肩へその白い手を掛けました。 畜生!....
「雪霊記事」より 著者:泉鏡花
―略して申すのですが、そこへ案内もなく、ずかずかと入って来て、立状にちょっと私を
尻目にかけて、炉の左の座についた一|人があります――山伏か、隠者か、と思う風采で....
「四十年前」より 著者:内田魯庵
の馬車を駆りて先輩知友に暇乞いしに廻ったが、尾行の警吏が俥を飛ばして追尾し来るを
尻目に掛けつつ「我は既に大臣となれり」と傲語したのは最も痛快なる幕切れとして当時....
「本所両国」より 著者:芥川竜之介
侍だった。しかも誰にも恐れられていた「新徴組」の一人に違いなかった。かれは叔父を
尻目にかけながら、にやにや笑って歩いていた。叔父はかれを一目見たぎり、二度と長い....