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尽く
「尽く〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
尽くの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「十本の針」より 著者:芥川竜之介
る)には与えられない。それらの人々はそれらの人々の一生を恐ろしい遊戯のうちに用い
尽くすのである。あらゆる幸福はそれらの人々には解剖するために滅少し、同時にまたあ....
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
ない。が、そのほかは、北は千本《せんぼん》、南の鳥羽《とば》街道の境《さかい》を
尽くして、蚊やりの煙のにおいのする、夜色《やしょく》の底に埋もれながら、河原《か....
「或る女」より 著者:有島武郎
池の中の蓮《はす》の実の一つに目を定めて、身動きもせずに小半時《こはんとき》立ち
尽くしていた。
八
日の光がとっぷりと隠れてしまって、往来の灯《ひ》ばかり....
「或る女」より 著者:有島武郎
そこを倉地の紺羅紗《こんらしゃ》の姿が勢いよく歩いて行くのが見えた。半分がた散り
尽くした桜の葉は真紅《しんく》に紅葉して、軒並みに掲げられた日章旗が、風のない空....
「二つの道」より 著者:有島武郎
してはいない。また左のみを辿って平然としていることはできない。この二つの道を行き
尽くしてこそ充実した人生は味わわれるのではないか。ところがこの二つの道に踏み跨が....
「片信」より 著者:有島武郎
は労働者の手に委《ゆだ》ねて、僕は自分の運動の範囲を中流階級に向け、そこに全力を
尽くそうとするだろうというまでだ。そういう覚悟を取ることがかえって経過の純粋性を....
「想片」より 著者:有島武郎
また二つの態度が考えられる。踏みとどまる以上は、極力その階級を擁護するために力を
尽くすか、またはそうはしないかというそれである。私は後者を選ばねばならないものだ....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
と書いた文字に、一ツ一ツ音があって、天地に響くがごとく、はた古戦場を記した文に、
尽く調があって、章と句と斉しく声を放って鳴くがごとく、何となく雲が出て、白く移り....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
悲しくも私たちの一人一人が肩の上に背負わなければならない不条理だ。特異な力を埋め
尽くしてまでも、当面の生活に没頭しなければならない人々に対して、私たちは尊敬に近....
「親子」より 著者:有島武郎
にございますまいよ。とにかく商売だって商売道と申します。不束ながらそれだけの道は
尽くしたつもりでございますが、それを信じていただけなければお話には継ぎ穂の出よう....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
あまりはかばかしくはゆかなかった。その後この障害が消失し、同時にまた科学のために
尽くす研究者の数も、彼らの利器の数も矢つぎ早に増加した。最近における大規模の進歩....
「世界怪談名作集」より 著者:アンドレーエフレオニード・ニコラーエヴィチ
宮殿の崇高なるにも、心を動かされなかった。彼に取っては荒野に近い崩れ家も、善美を
尽くした石造の宮殿もまったく同様であったので、相変わらず無関心に進み入った。彼の....
「瘠我慢の説」より 著者:石河幹明
に為すべからざるを知るといえども、我が事うるところの存せん限りは一日も政府の任を
尽くさざるべからずとて極力計画したるところ少なからず、そのもっとも力を致したるは....
「ドモ又の死」より 著者:有島武郎
来てモデルになってくれた。俺たちのような、物質的には無能力に近いグループのために
尽くしてくれるその女の志は美しいものだった。奴はひそかにその弟の細君に恋をしてい....
「活人形」より 著者:泉鏡花
したり。入用る雑用を省くと唱え、八蔵といえる悪僕一人を留め置きて、その余の奴僕は
尽く暇を取らせ、素性も知れざる一人の老婆を、飯炊として雇い入れつ。こは後より追々....