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「居残り〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

居残りの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
恋を恋する人」より 著者:国木田独歩
であった。大友がこの温泉場に来て大東館に宿ったのは。 避暑の客が大方帰ったので居残りの者は我儘放題、女中の手もすいたので或夕《あるゆうべ》、大友は宿の娘のお正....
党生活者」より 著者:小林多喜二
「人を馬鹿にしてる」と云って、憤慨し出した。伊藤のいるパラシュートでは、六時まで居残りのときは「弁当代を出して貰《もら》わなければ、どうもならん」と、云っている....
耽溺」より 著者:岩野泡鳴
友人とともに、出て来た菓子を喰いながら、誇りがおに、昨夜から今朝にかけての滑稽の居残り事件をうち明けた。礼を踏まない渡瀬一家のことは、もう、忘れているということ....
土鼠と落盤」より 著者:黒島伝治
坑内にも。そして、銅は高価の絶頂にあった。彼等は、祖父の時代と同様に、黙々として居残り仕事をつゞけていた。 大正×年九月、A鉱山では、四千名の坑夫が罷業を決行....
戦話」より 著者:岩野泡鳴
やさかい、何も云わんで、留守番役をつとめとった。それが予備軍のくり出される時にも居残りになったんで、自分は上官に信用がないもんやさかいこうなんのやて、急にやけに....
火星兵団」より 著者:海野十三
ちの窓には、電灯の火が明かるくかがやき、その下で、いそがしい仕事をかたずけるため居残りをしている社員たちの姿さえ、はっきり見られた。 「課長、すぐ本庁へ行かれま....
妖僧記」より 著者:泉鏡花
やれやれ生命を拾いたりと、真蒼になりて遁帰れば、冷たくなれる納台にまだ二三人居残りたるが、老媼の姿を見るよりも、「探検し来りしよな、蝦蟇法師の住居は何処。」....
灰色の記憶」より 著者:久坂葉子
ったからなのだ。ある放課後、私は彼の学級の前へ一人で偵察に行った。六年生はいつも居残りをして、入試の勉強をしていたのだ。私は、すりガラスの窓を細目にあけて中の様....
おとずれ」より 著者:国木田独歩
事に人々出す言葉を知らざりき。倶楽部員は二郎の安全を祝してみな散じゆき、事務室に居残りしは幹事|後藤のみとなりぬ。十蔵は受付の卓に倚りて煙草を吹かし、そのさまわ....
明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
来会者は訊問されることもなく、すぐ解散を許された。 残ったのは、総監と、特に居残りを命じられた楽士であった。 「あなた方は一段高い席におられたのですが、犯行....
剣侠」より 著者:国枝史郎
うに駈け抜けて一散に脱兎! 「待て!」と要介は追っかけたが、 「浪之助殿、貴殿は居残り、主水殿と澄江殿を介抱なされい!」 「かしこまりました」 「頼む」と云いす....
髭の謎」より 著者:小酒井不木
。 あとにはPのおじさん、すなわち小田刑事と令嬢と私たち二人の都合四人が書斎に居残りました。令嬢は悲しさうれしさ取りまぜた涙をそっと拭って言いました。 「塚原....
チベット旅行記」より 著者:河口慧海
らぬから金を取らぬかというと、何とかかとか口実を拵えて、あるいは僧侶よりあるいは居残りの人民より沢山な金を取立てる。で、その収入を見当に沢山な金をかけて、僅か一....
活人形」より 著者:泉鏡花
突当の部屋の前に、呼吸を殺していたりしが、他の者は皆立去りて、怪しと思う婦人のみ居残りたる様子なれば、倒れたる墓石を押し寄せて、その上に乗りて伸び上り、窓の戸を....
フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
ましてね。」 「やっぱり鮨詰めですか。」 「ええ、何分|昨日行啓の今晩ですから、居残りでかなり混雑していますし、宿でも町の方でもすっかり疲れ切っているので、どう....