居残る[語句情報] » 居残る

「居残る〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

居残るの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或る女」より 著者:有島武郎
葉子にそういわれて貞世はすばしこく帽子だけ取り上げてしまった。古藤はおめおめと居残る事になった。 葉子は倉地をも呼び迎えさせた。 十二畳の座敷にはこの家に....
新生」より 著者:島崎藤村
巴里の三月の日あたり、それらの耳目に触れるものから起って来る感覚は一層岸本の心を居残る旅らしくした。彼はその窓際《まどぎわ》に立って遠く帰って行く旅の人を見送ろ....
藁草履」より 著者:島崎藤村
労と失望とで悶え苦んでいた源が、むっくと起上った頃は――もう人々も帰って了った。居残る人足は腰を曲《こご》めて御仮屋を取片付ける最中。幕は畳み、旗は下して、遽《....
野狐」より 著者:田中英光
私は持ってきた一升瓶を飲み、女給たちは店のビールを飲む。そして結局、看板まで私は居残ることになった。酔いと遅くなって面倒なのとで、私はリリーとハイヤーで新宿まで....
梅津只円翁伝」より 著者:杉山萠円
、斎田氏の八釜しさが出藍の誉があったものと見えて、しまいには佐藤文次郎氏一人だけ居残るという惨況であった。 それでも余りに斎田氏の稽古振りが酷烈なので、夫人が....
中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
ると尊敬して、是非とも午飯を食って行ってくれと頼むので、彼はよんどころなくそこに居残ることになって、他の一行は舟に乗り込んだ。 残された彼は幸いであった。他の....
火薬船」より 著者:海野十三
、麻紐の一端が、脱船水夫の竹見の片手を、しっかりと捉えているのだ。竹見はこの船に居残るという。しからば、この紐をはなしてやらなければなるまい。といって、この場合....
菎蒻本」より 著者:泉鏡花
縁日の夜は縁起を祝って、御堂|一室処で、三宝を据えて、頼母子を営む、……世話方で居残ると……お燈明の消々時、フト魔が魅したような、髪|蓬に、骨|豁なりとあるのが....
巴里祭」より 著者:岡本かの子
なっている。 ――六月三十日より前に巴里を去るのも阿呆、六月三十日より後に巴里に居残るのも阿呆。」 これは追放人等の口から口に伝えられている諺である。つまり六....
小公女」より 著者:菊池寛
いけないよ。」 ベッキイはにやにや笑いながらその隅へ退きました。どんな隅にでも居残ることを許されたのは、台所で胸をわくわくさせているより、どんなにいいかしれま....
ジーキル博士とハイド氏の怪事件」より 著者:佐々木直次郎
かる連中であった。そしてアッタスン氏は、ほかの人々が帰ってしまった後までも自分で居残るように仕向けた。これは何も初めてのことではなく、それまでに何十回もあったこ....
無人島に生きる十六人」より 著者:須川邦彦
こんで、宝島をあとに、本部島へ漕ぎだした。 いつもならば、三人が交代して宝島に居残るのであるが、飲料水タンクの石油|缶が、どうしたことか、急に三つとももりだし....
梟啼く」より 著者:杉田久女
来た時、この病身な弟を長途の船や不便な旅路に苦しませる事の危険を父母共に案じ母は居残る事に九分九厘迄きめたのであったが信光の主治医が「御気の毒だけど坊ちゃんの御....
決闘」より 著者:神西清
もりなんだ。そんなことは白日のごとく明らかじゃないか。女は君の頸っ玉へぶら下って居残る。で君がとどの詰まりは、自腹を切ってあの女をペテルブルグへ発たせることにな....
深夜の客」より 著者:大倉燁子
りついた。 「じゃ、私が留守番していますから、お嬢様行っていらっしゃい」 家に居残るよりも、その方がいくらか恐しくなかったと見えて、美和子は直ぐに外へ馳け出し....