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「屈む〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

屈むの前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
幽霊妻」より 著者:大阪圭吉
げ出されているではございませんか。思わず立ち上がった私は、鏡台の前へかけよると、屈むようにして、改めてあたりの様子を見廻わしたのでございますが、抽斗の前の畳の上....
貝の穴に河童の居る事」より 著者:泉鏡花
、あしなかの音をぴたりぴたりと寄って、半ば朽崩れた欄干の、擬宝珠を背に控えたが。屈むが膝を抱く。――その時、段の隅に、油差に添えて燈心をさし置いたのである。――....
第二菎蒻本」より 著者:泉鏡花
に目に着く狐火が一つ、ぼんやりとして(蔦屋)とある。 「これだ。」 密と、下へ屈むようにしてその御神燈を※すと、他に小草の影は無い、染次、と記した一葉のみ。で....
伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
向うに来ると、二人さっと両方に分れて、同一さまに深く、お太鼓の帯の腰を扱帯も広く屈むる中を、静に衝と抜けて、早や、しとやかに前なる椅子に衣摺のしっとりする音。 ....
理想の女」より 著者:豊島与志雄
理な損害を受けたくない、そういう危い境地へ踏み込みたくない。それには、彼女に折れ屈むことを教えて置かなければいけない。彼女の心を挫いて置かなければいけない。 ....
サレーダイン公爵の罪業」より 著者:チェスタートンギルバート・キース
かな薄明が訪れる頃には、彼等はこの川添の小村の橋や屋根の下に来ていた。家々は低く屈むような長屋根をいただいていて、巨大な灰色や赤ちゃけた色の家畜が河へ水を飲みに....
地虫」より 著者:小栗虫太郎
逆の論理になっている。背後から抱えられて、グサリと突き立てられたとき、屍体には、屈むのと、伸びる反射運動とが連続して起るのだ。だから創の歪みが、その屈伸に符合す....
血曼陀羅紙帳武士」より 著者:国枝史郎
うと、雑木林を巡って歩いて行った。 娘は、しばらくそれを見送っていたが、やがて屈むと、地に置いてあった線香の束を取り上げ、「どれ、それでは妾は、ちょっと道了様....
画工と幽霊」より 著者:岡本綺堂
ら寝台に登ったが、眼は冴えて神経は鋭く、そよと窓の口へ立寄って、両肱を張って少し屈むかと見えたが、何でも全身の力を両腕に籠めて、或物を窓の外へ推出し突出すような....
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)」より 著者:三遊亭円朝
若い衆さん気を附けて下さい、小僧さん御苦労さま」 小「へい、お辞儀をしようとして屈むと梨が転がり出しますから頭を下げませんが、ちゃんと心の内でお辞儀をして居りま....
鳩つかひ」より 著者:大倉燁子
上に帰伏しているので、本田はちょっと気をゆるした。帳場に入って主人をゆり起そうと屈むと、 「生意気な真似をしやがる、赤星の野郎!」 という声がした、ハッと思っ....
大岡越前」より 著者:吉川英治
番町様」といったり「刑部様」と敬称したりしている。 刑部様は、稀代な醜男だが、屈むにも骨が折れそうな、隆々たる筋肉をそなえ、ごろの痕か、片方の瞼の肉がひッ吊れ....