届く[語句情報] »
届く
「届く〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
届くの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
い出したようにこう云った。
「今、電報を打たせました。今日《きょう》中にゃまさか
届くでしょう。」
「そうだねえ。何も京大阪と云うんじゃあるまいし、――」
地理....
「或る女」より 著者:有島武郎
てあった。東京の中央にこんな所があるかと思われるほど物さびしく静かで、街灯の光の
届く所だけに白く光って斜めに雨のそそぐのがほのかに見えるばかりだった。寒いとも暑....
「高野聖」より 著者:泉鏡花
六尺角に切出したの、剣《つるぎ》のようなのやら、鞠《まり》の形をしたのやら、目の
届く限り残らず岩で、次第に大きく水に※《ひた》ったのはただ小山のよう。」
十四....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
た通り、一人一人に用意がしてある。病気なり、何なりは、父様も兄も本職だから注意が
届くよ。その他は万事母様が預かって躾けるんだ。 好嫌は別として、こちらで他に求....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
れながら、船底を上にして顛覆した船体にしがみつこうともがいていた。見ると君の目の
届く所には、君の兄上が頭からずぶぬれになって、ぬるぬると手がかりのない舷に手をあ....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
から出てきて、徐々に高く昇ってゆき、天の南を過ぎて西方の穴へと降ってゆき、そこへ
届くのが夜の初めである。夜の間は太陽はこの管の中をたどっていって、翌朝になると再....
「海神別荘」より 著者:泉鏡花
度は、先方の父親が、若様の御支配遊ばす、わたつみの財宝に望を掛け、もしこの念願の
届くにおいては、眉目容色、世に類なき一人の娘を、海底へ捧げ奉る段、しかと誓いまし....
「七宝の柱」より 著者:泉鏡花
。 山吹がいまを壮に咲いていた。丈高く伸びたのは、車の上から、花にも葉にも手が
届く。――何処か邸の垣根|越に、それも偶に見るばかりで、我ら東京に住むものは、通....
「陽炎座」より 著者:泉鏡花
見向く、と朱鷺色に白の透しの乙女椿がほつりと一輪。 熟と視たが、狭い座敷で袖が
届く、女房は、くの字に身を開いて、色のうつるよう掌に据えて俯向いた。 隙間もる....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
しんせつに、そこらで掬って来てくれたんで、それをちぎって釣る時分は、浮木が水面に
届くか届かぬに、ちょろり、かいず奴が攫ってしまう。 大切な蝦五つ、瞬く間にして....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
何くれと詳しい説明をしてくだされたのは、例の私の指導役の神様でした。痒い所へ手が
届くと申しましょうか、神様の方では、いつもチャーンとこちらの胸の中を見すかしてい....
「葛飾砂子」より 著者:泉鏡花
が月でも聞くと思うのか、鳴いている。 この裏を行抜けの正面、霧の綾も遮らず目の
届く処に角が立った青いものの散ったのは、一軒飛離れて海苔粗朶の垣を小さく結った小....
「河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
のりと暖いように見えます、障子|越に日が薄く射すんです。 立って手を伸ばすと、
届く。密と手で触ると……動く。……動く瓜の中に、ふと、何かあるんです。」 「――....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
それをお前に上げましょう。」とお夏は事もなげに打微笑み、 「それであのお化の念が
届くんだわ。」とあっけに取られた愛吉の顔をさも嬉しそうに眺めたが、不意に色をかえ....
「活人形」より 著者:泉鏡花
り三回の間に出でて毒を飲みたる病人なり。鎌倉より東京のことなれば、敏き看官の眼も
届くまじとて書添え置く。) 得三|一度手を動さば、万事ここに休せむかな。下枝の....