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山彦
「山彦〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
山彦の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「源おじ」より 著者:国木田独歩
の声の脈ゆるやかに波紋を描きつつ消えゆくとぞみえし。波紋は渚《なぎさ》を打てり。
山彦《やまびこ》はかすかに応《こた》えせり。翁は久しくこの応えをきかざりき。三十....
「高野聖」より 著者:泉鏡花
染みて、気が付くと山颪《やまおろし》よ。
この折から聞えはじめたのはどっという
山彦《こだま》に伝わる響《ひびき》、ちょうど山の奥に風が渦巻《うづま》いてそこか....
「単独行」より 著者:加藤文太郎
れる。殊に雪崩は随分大きな奴が出るらしく、最近山友達山野三郎君や有名な山案内人中
山彦一君等の生命を奪っている。 常念沢出合から上は左岸より右岸の方が複雑で、谷....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
して勤王の志を起こしたという蒲生君平や、京都のさびしい御所を拝して哭いたという高
山彦九郎のような人物のあらわれて来たのでもわかる。応仁乱後の京都は乱前よりも一層....
「少年探偵長」より 著者:海野十三
のようなものであったかいってみろ!」 首領の声が、広い部屋にとどろきわたって、
山彦のように反響した。 「首領……それでは、いってもかまいませんか、みんなのまえ....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
た。見るとその辺は老木がぎっしり茂っている、ごくごく淋しい深山で、そして不思議に
山彦のよく響く処でございました。漸く山林地帯を出抜けると、そこは最う山の頂辺で、....
「宝島」より 著者:佐々木直次郎
む、そうかも知れねえ。」と彼は言った。「だが、己には腑に落ちねえことが一つある。
山彦がしたな。ところで、影のある幽霊なんてだれも見たことがねえ。とすればだ、幽霊....
「赤格子九郎右衛門の娘」より 著者:国枝史郎
のであった。 それでもとうとう利右衛門だけは中座することを許された。それに小宮
山彦七も同じく玉造に家があったのでこれも一緒に帰ることになった。二人はお菊に送ら....
「白花の朝顔」より 著者:泉鏡花
て支度が出来ていて、さしむかいで、酒になった処へ、芝居から使の番頭、姓氏あり。津
山彦兵衛とちょっとお覚え下さい。 (――すぐ、あとで、本郷座の前茶屋へ顔を出しま....
「暗黒星」より 著者:黒岩涙香
こそ出さなかったが、心の中でこの様な事を問うた、たとい大声に叫び問うたとて答える
山彦さえ有りはしない。 九十四 初め博士が種物や食物などを地底の室に取り入れた時....
「案内人風景」より 著者:黒部溯郎
。彼らは手製の荷杖を捨てて、ピッケルのマークを誇り合うようにさえなった。有明の中
山彦一はシェンクのピッケルを有ってるぞという話まで伝わって来る。 けれども結局....
「くぐつ名義考」より 著者:喜田貞吉
の留る限り」、或いは「タニククのさ渡る極み、かへら(櫂歟)の通ふ極み」、或いは「
山彦の答へん極み、タニグクのさ渡る極み」などいう成句がある。これは「天の壁立つ極....
「五重塔」より 著者:幸田露伴
五宝、丁子沈香白膠薫陸白檀以上合わせて五香、そのほか五薬五穀まで備えて大土祖神埴
山彦神埴山媛神あらゆる鎮護の神々を祭る地鎮の式もすみ、地曳き土取り故障なく、さて....
「中世の文学伝統」より 著者:風巻景次郎
侍るなり。 この言葉は本当である。 今日よりはたつ夏衣うすくとのみや思ひわたらむ
山彦のこたふる山の時鳥ひと声ぞ聞く 胸は富士袖は清見が関なれや烟も波もたたぬ日ぞ....
「茸をたずねる」より 著者:飯田蛇笏
はいいが、どうかすると非常に遠く離れていることがある。その時は二声も三声も呼ぶ。
山彦が遥かの峰から応えて、少し後れながら淋しい趣きをそえつつ同じ声をもって来る。....