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山犬
「山犬〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
山犬の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「玉藻の前」より 著者:岡本綺堂
行った。強そうな顔をしていても、千枝松はまだ十五の少年である。盗賊や鬼はおろか、
山犬に出逢っても果たして十分に警護の役目を勤めおおせるかどうだか、よそ目には頗《....
「「享楽座」のぷろろぐ」より 著者:辻潤
虐なまれる傀儡は 僅かに刹那の火花から トマトの肌触りを感じるのだ ヒステリイの
山犬よ 石油の空缶を早く乱打しろ! そして幕をあげろ!! ハッシュ!! ハッショ※....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
をつけてゴシゴシと藁を綯いながら、狸の人を化かした話、畠に出る狢の話、おそろしい
山犬の話、その他無邪気でおもしろい山の中のお伽噺から、畠の中に赤い舌をぶらさげて....
「家なき子」より 著者:楠山正雄
したちは村にはいった。すれちがう人がみんなふり返って目を丸くした。それはまるで、
山犬がつなで引かれて行くていさいであった。 わたしたちが村の居酒屋の前を通ると....
「花咲ける石」より 著者:坂口安吾
ぬけて強かった。 房吉は深山村の医者の次男坊であったが、小さい時に山中で大きな
山犬に襲われた。犬の勢いが鋭いので、逃げることができないが、手に武器がない。犬の....
「桜の園」より 著者:神西清
ヤーシャ、声をあわせる。 シャルロッタ すごい歌い方だこと、この人たち……ふッ!
山犬みたいだ。 ドゥニャーシャ (ヤーシャに)それにしても、外国へ行くなんて、ほ....
「加利福尼亜の宝島」より 著者:国枝史郎
血のような気味の悪い色に染め付けている。 鳥の啼く音や猿の叫び声や豹の吠え声や
山犬の声などが、林の四方で騒がしくひっきりなしに聞こえていたが、それはどうやら遠....
「次郎物語」より 著者:下村湖人
それからあとが大変だった。そのつぎに指揮台の上にあらわれたのは、見るからに獰猛な
山犬のような顔の生徒だった。そして、「貴様たちの眼付が、第一横着だ。」とか、「新....
「落語・教祖列伝」より 著者:坂口安吾
んでいる。 「ブンさん、強いなア」 と、寺小屋の小僧どもは感服して、 「蜂でも
山犬でもブンさんを見ると逃げてしもうぞ」 「バカ言うな。虫も
山犬も、みんなオレの....
「多神教」より 著者:泉鏡花
…人目に触れても近寄らせまい巧じゃろ、企んだな。解け、解け。 禰宜 (解きつつ)
山犬か、野狐か、いや、この包みました皮は、狢らしうござります。 一同目を注ぐ。お....
「たぬき汁」より 著者:佐藤垢石
辺に至る二、三百年来手広く取引をなし、山の猟師が熊、鹿、狸、狐、羚羊、猿、山猫、
山犬などの毛皮を携えて遙々前橋まで集まってきたが、明治になってからはこれを神戸の....
「二葉亭余談」より 著者:内田魯庵
ましたりする擒縦殺活自在の思弁に頗る長じていた。 勿論、演壇または青天井の下で
山犬のように吠立って憲政擁護を叫ぶ熱弁、若くは建板に水を流すようにあるいは油紙に....
「飛騨の怪談」より 著者:岡本綺堂
ていた。口も比較的に小さい方で、黄い口唇から不規則に露出している幾本の長い牙は、
山犬よりも鋭く見えた。足の割には手が長く、指は矢はり五本であるが、爪は鉄よりも硬....
「チベット旅行記」より 著者:河口慧海
がって居るです。だんだん山の中へ進んで行きますと山ヤクも居りますし、また雪豹とか
山犬というような猛獣も遙かの山に見えて居ります。そういう奴が折々出て来るそうで、....
「宝永噴火」より 著者:岡本かの子
お慧鶴が気をつけて見ると、走り動いている小塊は悉く動物であって野猿と覚しきもの、
山犬と思しきもの、鹿の群と思しきもの、種々雑多である。それが淀みなく東へ東へと走....