山雨[語句情報] » 山雨

「山雨〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

山雨の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
思い出す事など」より 著者:夏目漱石
た女を見た。見たか見ないうちに白い着物が動いて余に近づいて来た。 秋風鳴万木。山雨撼高楼。 病骨稜如剣。 一灯青欲愁。 二十三 余は好意の干乾《ひから》び....
みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
白く騰って、水の行衛が田圃はるかに指さゝれる。 筧の水音を枕に聞く山家の住居。山雨常に来るかと疑う渓声の裡。平時は汪々として声なく音なく、一たび怒る時万雷の崩....
法窓夜話」より 著者:穂積陳重
よび商法を編纂せんことを企てた。故にその後は何となく英仏両派の間に殺気立って、「山雨来らんと欲して風楼に満つ」の概があった。果せるかな。明治二十五年の春に至って....
十二支考」より 著者:南方熊楠
どは実話たる事疑いなし、わが邦にも『雲根志《うんこんし》』に宝暦六年美濃巨勢村の山雨のために大崩れし、方一丈ばかりな竜の首半ば開いた口へ五、六人も入り得べきが現....
ああ玉杯に花うけて」より 著者:佐藤紅緑
ロリとかれを見た。二年の名誉を負うて立つ生蕃! 三年の王たるライオン! 正にこれ山雨きたらんとして風|楼に満つるの概。 犬の方は一向にはかどらなかった、かれら....
丹下左膳」より 著者:林不忘
。 縁の上下に、源十郎と左膳、さぐるがごとき眼を見合ってしばし無言がつづいた。山雨《さんう》まさに到らんとして、風《かぜ》楼《ろう》に満つ。 左膳は、 何....
魔像」より 著者:林不忘
すった。何の用か知らねえが、ま、ゆっくり聞くとしよう――ちょっくら待って下せえ」山雨は横にそれた。のんびりした応対である。台風《たいふう》一|過《か》、喬之助は....
西航日録」より 著者:井上円了
ルトに降車して、文豪ゲーテ、シラー両翁の遺跡を訪い、ついにここに一泊す。 満目青山雨後新、花光麦色已残春、壮游未脱風流癖、来印河辺訪故人。 (みわたすかぎりの青....
南半球五万哩」より 著者:井上円了
煙がさかんに見えたとき、汽笛をひびかせながら露の都に入ったのであった。) 満目青山雨後新、花光麦色已残春、壮游未。 (みわたすかぎりの青山は雨に洗われて緑もあら....
煩悶」より 著者:正岡子規
アイアイ。そんな事じゃなかったよ。坂、坂は照る照る鈴、鈴鹿は曇る、あいのあいの土山雨がふる、ヨーヨーと来るだろう。向うの山へ千松がと来るだろう。そんなのはないよ....
鳴門秘帖」より 著者:吉川英治
何か目算が立って居中悠々としているもののごとく、天堂一角が朗吟|口調で、 「――山雨将にいたらんとして、さ」 と、つぶやくと、お十夜が周馬の口を写して同じよう....
私本太平記」より 著者:吉川英治
地もせざりければ……。 とは「古典太平記」がいっているところだが、冷たい晩秋の山雨に吹き打たれたあげく、二日三晩もの彷徨いを、天皇までが、まったくお口に一物を....
私本太平記」より 著者:吉川英治
容易でなかった。半里か一里ごとには肩代りしてゆくのだが、道はぬかるむばかりだし、山雨は輿の御簾を打ッて、帝のお膝のあたりも冷たく濡れてきたにちがいない。 「おそ....
随筆 私本太平記」より 著者:吉川英治
、赤坂城の址には、蜜柑畑のみどりが濃い。正成の屋敷址は、いまの千早赤坂小学校だ。山雨を避けて、校門へ駆け込む。蜂ノ子みたいな学生たちにワイワイ囲まれつつ、雨の小....
茸をたずねる」より 著者:飯田蛇笏
のである。草鞋の踏みすぎたあとの蟻の塔はずんと凹んで、その凹んだ草鞋のあとは、幾山雨のため数箇月の後には平らめにならされ、軈てまた新たなる蟻の塔が此の無人の境に....