»
峠
「峠〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
峠の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「文放古」より 著者:芥川竜之介
やっぱり田舎《いなか》の文学通だけにどこか見当が違っているのね。たとえば「大菩薩
峠《だいぼさつとうげ》」なんぞも一代の傑作だと思っているのよ。そりゃまだ好《い》....
「温泉だより」より 著者:芥川竜之介
まだ小学校の生徒だった「な」の字さんは半之丞と一しょに釣に行ったり、「み」の字|
峠《とうげ》へ登ったりしました。勿論半之丞がお松に通《かよ》いつめていたり、金に....
「或る女」より 著者:有島武郎
ず出たあくびをじっとかみ殺したのをいち早く見て取ると、葉子はこの種の歓楽がすでに
峠を越した事を知った。その夜は葉子には不幸な一夜だった。かろうじて築き上げた永遠....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
ってもさびしく物すさまじい北海道の冬の光景だ。 長い冬の夜はまだ明けない。雷電
峠と反対の湾の一角から長く突き出た造りぞこねの防波堤は大蛇の亡骸のようなまっ黒い....
「追憶」より 著者:芥川竜之介
費は二十円を越えたことはなかった。僕はやはり西川といっしょに中里介山氏の「大菩薩
峠」に近い丹波山という寒村に泊まり、一等三十五銭という宿賃を払ったのを覚えている....
「クララの出家」より 著者:有島武郎
唱の声が、静かにかすかにおごそかに聞こえて来た。 (一九一七、八、一五、於|碓氷
峠)....
「海神別荘」より 著者:泉鏡花
間同士、夥間うちで、白い柔な膩身を、炎の燃立つ絹に包んで蒸しながら売り渡すのが、
峠の関所かと心得ます。 公子 馬鹿だな。(珊瑚の椅子をすッと立つ)恋しい女よ。望....
「唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
の比羅がめらめらと動いているのがありました、それが宿はずれで、もう山になります。
峠を越すまで、当分のうち家らしいものはございませんや。 水の音が聞えます。ちょ....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
がおくれた、大変だ。お待合わせを約束の仲|町を出た、あの大時計が雪の塔、大吹雪の
峠の下に、一人旅で消えそうに彳っていらっしゃるのが目さきに隠現くもんですから、一....
「伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
か。」 「それはござりますよ。ついこの前途をたらたらと上りました、道で申せばまず
峠のような処に観世物の小屋がけになって、やっぱり紅白粉をつけましたのが、三味線で....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
みの礼装に、例の被衣を羽織ました。 ヅーッと何処までもつづく山路……大へん高い
峠にかかったかと思うと、今度は降り坂になり、右に左にくねくねとつづらに折れて、時....
「良夜」より 著者:饗庭篁村
食早くしたためて床に入りしが、既往将来の感慨に夢も結ばず。雁の声いとど憐なりし。
峠を越え山を下り野にはいろいろの春の草、峰にも尾にも咲きまじる桜、皆な愉快と悲痛....
「三人の百姓」より 著者:秋田雨雀
考えもなく足を早めて道を歩いて行きました。 伊作は丈の高い一番丈夫な男だけに、
峠を登る時は、二人から一|町ほども先きを歩いていました。多助と太郎右衛門は、高い....
「茸をたずねる」より 著者:飯田蛇笏
て彼等も晴々しい心になるかして、少しく活溌な身のこなしを見せる。 私は峰伝いに
峠路へ下って帰路に就こうとする。
峠路で時々炭売の婦たちに出あうことがある。彼女等....
「戦争史大観」より 著者:石原莞爾
た。海岸からサルジニアに進入するためにはサボナから西北方アルタールを越える道路(
峠の標高約五百メートル)が最良で、少し修理すれば車を通し得る状態であった。ところ....