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「峡中〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

峡中の前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
雪の白峰」より 著者:小島烏水
た友人N君である、N君は早稲田文科の出身で、創作に俊秀の才を抱きながら、今は暫く峡中で書を講ずるの人となっている、自分はN君の通信から、ここに二通を抜く、殊に手....
十二支考」より 著者:南方熊楠
しい処で通宵《つうしょう》これを聴く趣はとてもわが邦の猴鳴の及ぶところでなく、〈峡中猿鳴く至って清し、諸山谷その響きを伝え、冷々として絶えず、行者これを歌いて曰....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
お松が寝ついた時分からサラサラと雪が降りはじめました。 翌朝になって見ると、峡中の二十五万石が雪で埋もれてしまいました。過ぐる夜の靄《もや》は墨と胡粉《ごふ....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
さてまた弁信法師は一面の琵琶を負うて、またもうらぶれの旅に出でました。 ここは峡中《こうちゅう》の平原、遠く白根の山の雪を冠《かぶ》って雪に揺曳《ようえい》す....
香魚と水質」より 著者:佐藤垢石
とに清らかにまた水垢がいかにもおいしそうに川底の石の表を塗りこめている。富士川も峡中を流れる笛吹、釜無の二支流こそ花崗岩に満たされているが、この二支流を合わせた....
香魚の讃」より 著者:佐藤垢石
素晴らしく大きいのである。 笛吹川は甲武信岳の方から、釜無川は甲斐駒の方から、峡中を流れて鰍沢で合し、俄然大河の相を具現して湲に移り潺に変わり、とうとうの響き....
層雲峡より大雪山へ」より 著者:大町桂月
巌壁を横絶したりけむ、今は丸木橋にて渡りて、間もなく、塩谷温泉に投ず。五里の層雲峡中、人家あるは、加藤温泉と塩谷温泉との二軒のみ也。他にあらば、原始的の粗末なる....
エリザベスとエセックス」より 著者:片岡鉄兵
ベスは激怒した。次から次へとひっきりなしにプリムスへ飛脚をたて、伝馬船隊をして海峡中を捜査せしめた。ドレイクへあてての怒りにあふれた宸翰のなかで彼女は、哀れなサ....
宮本武蔵」より 著者:吉川英治
ふと思いだしていた。 甲州武士がふかく帰依していた禅僧で、織田徳川の聯合軍が、峡中へ討入って、山門へ火をかけた時、その楼上でしずかに炎に体を焼かせながら、 ....
三国志」より 著者:吉川英治
護尉に趙融、廖淳。うしろ備えには直臣の諸大将。宗徒の旗本など、堅陣雲の如く、蜀の峡中から南へ南へと押し流れて行った。 ――ところが。 ここに蜀にとって悲しむ....
随筆 宮本武蔵」より 著者:吉川英治
弟子待という小島で一度地表に出るようになるらしい。そうなれば、今までは伝説的な海峡中の一地塊に過ぎなかった巌流島も、将来は一名所となって、そこを通る旅客の眼に、....
随筆 新平家」より 著者:吉川英治
空の風に聴くしかない。 長門の壇ノ浦は、すぐ対岸だ。そこの岬とここの岬とで、海峡中、いちばん狭い所らしい。源平盛衰記や平家物語にいう“海潮早キコト矢ノ如シ”の....