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峡間
「峡間〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
峡間の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「城のある町にて」より 著者:梶井基次郎
野は見渡す限り除虫燈の海だった。遠くになると星のように瞬《またた》いている。山の
峡間《はざま》がぼうと照らされて、そこから大河のように流れ出ている所もあった。彼....
「渦巻ける烏の群」より 著者:黒島伝治
分れ、やがて、草原に連って、広く、遠くへ展開している。 兵営は、その二つの丘の
峡間にあった。 丘のそこかしこ、それから、丘のふもとの草原が延びて行こうとして....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
びかしてところどころに立つ惨めな農家、これらの間を鋭い刃物で断ち割ったような深い
峡間、それらが特種な深い感じをもって特種な筆触で描かれている。君はややしばらくそ....
「神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
段を下りつづける。 十六年前の昔であった。すなわち天文十一年の夏、富士の裾野の
峡間へ、一人の若侍がやって来た。 美しい容貌、上品な姿、大分|窶れてはいたけれ....
「槍ヶ岳第三回登山」より 著者:小島烏水
肌のように白く、下は解けて水になっている、その水の流れて行くところは、雪の小さい
峡間を開いて、ちょろちょろと音をさせている。 右の方を仰ぐと、赤沢岳が無器用な....
「白峰山脈縦断記」より 著者:小島烏水
。 前夜の小舎から半里ばかりの間は、水もかなり深くて色も鮮やかである。水成岩の
峡間を流れるだけあって、どこか、赤石山下の、小渋川に似ている。小渋川よりも、川幅....
「谷より峰へ峰より谷へ」より 著者:小島烏水
には、五、六月頃になると、山桜や躑躅が、一度に咲いて紅白|綯い交ぜの幔幕を、山の
峡間に張るそうである、それよりも美しいのは、九月の末から十月の半ごろにかけてであ....
「山の湯雑記」より 著者:折口信夫
るが、岩代の国の信夫の高湯と、それに此白布と、五里ほどの間に、三つの高湯がある。
峡間の湯でなくて、多少見晴しが利く位置にあるからの称えである。 白布の高湯は、少....
「ドナウ源流行」より 著者:斎藤茂吉
その丘のうえに牛が耕している。耕したところだけが褐色になって見える。暫くすると、
峡間になってドナウはその間を流れた。汽車は今度は丘のうえを走ったからドナウを見お....
「女難」より 著者:国木田独歩
いだしても堪りませんのは同じ年ごろの従兄弟と二人で遊ぶことでした。二人はよく山の
峡間の渓川に山※を釣りに行ったものでございます。山岸の一方が淵になって蒼々と湛え....
「怪異黒姫おろし」より 著者:江見水蔭
片木なるを怨みもした。 右は妙高の高嶺、左は関川の流れを越して斑尾の連山。この
峡間の関山宿に一泊あり。明くる日は大田切、関川越して野尻近き頃は、夏の日も大分傾....
「穂高岳槍ヶ岳縦走記」より 著者:鵜殿正雄
料は豊富だが三、四尺も増すと水攻にされる。こっちの山麓から、向側まで二十間とない
峡間、殊に樹木は、よく繁っているので、強風は当らぬ。槍・常念・大天井に登臨する向のためには、至極便利の休泊処。....
「西航日録」より 著者:井上円了
、午後イタリアの山脈を望み、夜に入りてメッシナ海峡を通過す。ときに晩望の詩あり。
峡間船欲入、山影落闌干、雲嶂晩来霽、満天雪色寒。 (メッシナ海峡に船はさしかかれ....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
晴。朝来一点の雲なく、風力減じて暖気加わる。左右の両岸には連山群島に応接しつつ、
峡間を一過す。午前七時、寒帯を脱して温帯に入る。終日航進を継続し、いずれへも寄港....
「黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
に懸っているものは殊に壮大である。力の籠った谷風が一陣また一陣、蹈鞴のように狭い
峡間を吹き上げて来る、其度毎に烟のような雲がムーッと舞い※る後から、日光がキラリ....