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嵩
「嵩〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
嵩の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「尾生の信」より 著者:芥川竜之介
薄《こくはく》な満潮の水に隠されてしまうのに相違あるまい。いや、そう云う内にも水
嵩《みずかさ》は益《ますます》高くなって、今ではとうとう両脛《りょうはぎ》さえも....
「不思議な島」より 著者:芥川竜之介
微笑している。
「ええ、みんな売れ残ったのです。しかもたった三年の間にあれだけの
嵩《かさ》になるのですからね。古来の売れ残りを集めたとしたら、太平洋も野菜に埋《....
「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
わらよもぎ》の中に腰を下しながら、ここばかりは涼風《すずかぜ》の通うのを幸と、水
嵩《みかさ》の減った川に糸を下して、頻《しきり》に鮠《はえ》を釣って居りました。....
「温泉だより」より 著者:芥川竜之介
のち》、差出し人|萩野半之丞《はぎのはんのじょう》の小包みを一つ受けとりました。
嵩《かさ》は半紙《はんし》の一しめくらいある、が、目かたは莫迦《ばか》に軽い、何....
「お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
、一足彼の方へ進もうとした。
「それだから喧嘩になるんじゃないか? 一体お前が年
嵩《としかさ》な癖に勘弁《かんべん》してやらないのが悪いんです。」
母は洋一を....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
相不変《あいかわらず》悠々と手に唾《つばき》など吐きながら、さっきのよりさらに一
嵩《ひとかさ》大きい巌石の側へ歩み寄った。それから両手に岩を抑《おさ》えて、しば....
「将軍」より 著者:芥川竜之介
。支那人は通訳の質問通り、何でも明瞭《めいりょう》に返事をした。のみならずやや年
嵩《としかさ》らしい、顔に短い髯《ひげ》のある男は、通訳がまだ尋ねない事さえ、進....
「忠義」より 著者:芥川竜之介
》の者の話声とかが聞えただけで、すぐ注意が擾《みだ》されてしまう。それがだんだん
嵩《こう》じて来ると、今度は極《ごく》些細《ささい》な刺戟からも、絶えず神経を虐....
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
は朝飯前です。火難、剣難、水難があってこそ、惚れ栄えもあると御思いなさい。」と、
嵩《かさ》にかかって云い放しました。すると婆はまた薄眼になって、厚い唇をもぐもぐ....
「或る女」より 著者:有島武郎
た。けさの記憶のまだ生々《なまなま》しい部屋《へや》の中を見るにつけても、激しく
嵩《たか》ぶって来る情熱が妙にこじれて、いても立ってもいられないもどかしさが苦し....
「或る女」より 著者:有島武郎
わせるものを取って打《ぶ》ちこわすか、つかんで引き裂きたいような衝動がわけもなく
嵩《こう》じて来るのだった。
それでも倉地が帰って来ると、それは夜おそくなって....
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
か思い切った事をしてでも胸をすかせたく思った。丁度自分の畑の所まで来ると佐藤の年
嵩《としかさ》の子供が三人学校の帰途《かえり》と見えて、荷物を斜《はす》に背中に....
「星座」より 著者:有島武郎
すぐ追っかけて)ちょうどいないもんだから切羽《せっぱ》つまったのさ。本屋の払いが
嵩《かさ》みすぎて……もう三月ほど支払を滞らしているから今度は払っておいてやらな....
「親子」より 著者:有島武郎
わしなくこんな注意をするような父だった。 停車場には農場の監督と、五、六人の年
嵩な小作人とが出迎えていた。彼らはいずれも、古手拭と煙草道具と背負い繩とを腰にぶ....
「本所両国」より 著者:芥川竜之介
には会うことはないであろう。が、その時の大水は僕の記憶に残っているのでは一番|水
嵩の高いものだった。江東橋界隈の人々の第三中学校へ避難したのもやはりこの大水のあ....