嵩む[語句情報] »
嵩む
「嵩む〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
嵩むの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「青春の逆説」より 著者:織田作之助
、線の細い顔が泛んだ。早く金を持って行ってやらぬと、赤井のことやから、余計勘定が
嵩むようなことになるやろと、丁度鳴り出したベエートーヴェンの第五交響楽を深刻な顔....
「自叙伝」より 著者:大杉栄
のは母に黙っててもどこかの店から月末払いで持って来ることができた。その払いが少し
嵩むと、母はこれからはあらかじめそう言うようにと注意はしたが、決して叱ることはな....
「旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
典を与えられたために、世上の付き合い、道中の費用なぞ、いたずらに三万石並の失費が
嵩むばかりで、実際の収入はその十分の一の三千石にも足らない微禄だったところから、....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
負担を軽くしたい。次ぎに、御伝馬宿々については今回の御下向のため人馬の継立て方も
嵩むから、その手当てとして一宿へ金百両ずつを貸し渡されるよう。ただし十か年賦にし....
「縮図」より 著者:徳田秋声
、金主に搾られる高い金利は、商売の常として仕方がなく、何かと理窟に合わぬ散り銭の
嵩むのも、こうした水商売に付きものの見栄やお義理の代償として、それをあらかじめ勘....
「思想と風俗」より 著者:戸坂潤
っと大悟徹底すれば治療宗教をその代用物として採用する。もし不治の病、即ち治療費が
嵩む病気ならば、そうした方が安上りに治療の良心を静めることが出来て、理性的に賢明....
「草藪」より 著者:鷹野つぎ
ート生活では、時々二人の嫂たちが代る代るに来て、二軒で分担している物入りの意外に
嵩むことをきかされていたという。 「それで私、今年の春半ばにお母さんが恋しくなっ....
「一商人として 」より 著者:相馬愛蔵
にさらに二十万円くらいの資金を要し、合計五十万円にも及び、その金利と償却、新たに
嵩む照明費と税金、使用人の増加等を計算する時は、今日の売価をおよそ六、七分方引き....
「勧善懲悪」より 著者:織田作之助
、おかね婆さんは大分怪しくなって来た口調でぼそぼそぼやくし、宿や医者への支払いは
嵩む一方だし、それに、婆さんに寝込まれているのは「医者の不養生」以上に世間にも恰....
「泡盛物語」より 著者:佐藤垢石
十里ばかり隔てた次の都会へ流れて行った。しかし、市中に住むということは、生活費が
嵩むおそれがあるので、そこから一里ばかり離れた農村に行き、ささやかな家を借りて住....
「幕末維新懐古談」より 著者:高村光雲
みの通りかなり多くの弟子は出来ました。しかし弟子の多くなるに従って何かと物入りの
嵩むは当然で、私が学校へ奉職して、谷中に引っ越した時代は、月給は三十五円でありま....
「雪の夜」より 著者:織田作之助
腹膜になり、大学病院へ入院した。手術後ぶらぶらしているうちに、胸へ来た。医者代が
嵩む一方、店は次第にさびれて行った。まるで嘘のように客が来なかった。このままでは....
「文化史上より見たる日本の数学」より 著者:三上義夫
したものである。その答術を得るための過程まで記述しては大部の書物となりて出版費が
嵩むのでやむを得なかったという事情もあろうが、一つには方法よりも結果に重きをおい....
「自力更生より自然力更生へ」より 著者:三沢勝衛
に近い気候すなわち人工風土を作り出すことはできましょう。しかしそれだけ、生産費の
嵩むことになります。もっともその工業の要求通りの自然的気候を持つということは、そ....
「ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
方も随分不幸に逢っています。
毎日々々節倹をいたそうとしていて、
毎日々々費用が
嵩むばかりでございます。
それにわたくしの難儀は次第に殖えて参ります。
まあ、お....