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「嶮岨〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

嶮岨の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
軍用鮫」より 著者:海野十三
北緯百十三度一分、東経二十三度六分の地点において、楊《ヤン》博士はしずかに釣糸を垂れていた。 そこは嶮岨な屏風岩の上であった。 前には、エメラルドを溶かしこんだようなひろびろとし....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
で街道の狭いのを補った。長い間にこの木曾路に起こって来た変化は、いくらかずつでも嶮岨な山坂の多いところを歩きよくした。そのかわり、大雨ごとにやって来る河水の氾濫....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
は馬籠峠、大雨でも降れば道は河原のようになって、おまけに土は赤土と来ているから、嶮岨な道筋での継立ても人馬共に容易でないことを思い出した。冬春の雪道、あるいは凍....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
では気づかなかった。ただ、この深い木曾谷が昼でも暗いような森林におおわれた天然の嶮岨な難場であり、木曾福島に関所を置いた昔は鉄砲を改め女を改めるまでに一切の通行....
狂乱」より 著者:近松秋江
れて、相応に人が往来している。私は長い橋の中ほどに佇んで川の上流の方を眺めると、嶮岨な峰と峰とが襟を重ねたように重畳している。時によっては好い景色とも見られるで....
地図をながめて」より 著者:寺田寅彦
ということは測量部員以外だれも知らない。 登山流行時代の今日スポーツの立場から嶮岨をきわめ、未到の地を探り得てジャーナリズムをにぎわしたような場合でも、実は古....
霧陰伊香保湯煙」より 著者:三遊亭円朝
ウードッと云うすさまじい水音でございます。其処へ落ちては五体粉微塵となるくらいの嶮岨な処でありますから、決して助かりよう筈はないのでございます。丁度其の晩山田川....
宝島」より 著者:佐々木直次郎
した南の肩に接し、南の方へ向ってはまた隆起して、後檣山と言われているごつごつした嶮岨な高地になっていた。この高原の頂には異った高さの松の樹がたくさん生えていた。....
食慾」より 著者:豊島与志雄
を見るのだそうです。そして普通は、小諸へおりるのが順路ですが、野口の主張で、少し嶮岨だが山道をつたって、血の池を見、追分へ出るとのことでした。「こちらから見える....
くろん坊」より 著者:岡本綺堂
代りに、彼にも相当の仕事をさせるのであった。 黒ん坊は深山に生長しているので、嶮岨の道を越えるのは平気である。身も軽く、力も強く、重い物などを運ばせるには最も....
」より 著者:岡本かの子
男子達で、狂暴な男性狂者の監禁室の看守ででもあるらしい。白い上被も着た人相骨格の嶮岨に見える者ばかりだ。無制限な狂暴患者に対する不断の用心や、間断無しの警戒、そ....
飛騨の怪談」より 著者:岡本綺堂
跡を追って、これも東西の嫌い無しに山中を駈け廻ったが、容易に女を捉え得なかった。嶮岨に馴れたる彼は、飛ぶが如くに駈歩いて、一旦は麓まで降ったが又思い直して引返し....
チベット旅行記」より 著者:河口慧海
主従五人、私はギャア・ラマから買った白馬に乗って出掛けました。なかなか良い馬で、嶮岨な坂でもほとんど人が手足で登り駆けるかのごとくうまく進みました。ちょうど三月....
しんぱくの話」より 著者:小川未明
る自然のほうが、どれほど怖ろしいかしれないと木は思っていました。しかし、こうした嶮岨な場所に生じたために、しんぱくは、無事に今日まで日を送ることができたのであり....
賤民概説」より 著者:喜田貞吉
えたのであった。ことに彼は今日のいわゆる社会事業に努力し、橋をかける、道を繕う、嶮岨を平らにする、井戸を掘る、これらはみなその追従の信徒を使役して、事に従わしめ....