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巌穴
「巌穴〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
巌穴の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「眉かくしの霊」より 著者:泉鏡花
ますのでございます。 その、大蒜屋敷の雁股へ掛かります、この街道、棒鼻の辻に、
巌穴のような窪地に引っ込んで、石松という猟師が、小児だくさんで籠もっております。....
「中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
を言え」と、蒋はまた訊いた。 「この山の南二百余里のところに、天にそびゆる大きい
巌穴がございます」と、猩々は言った。「そのなかに長さ数百尺の巴蛇が棲んで居ります....
「十二支考」より 著者:南方熊楠
に語ると、妻白鼠や白蛇は宝物の変化《へんげ》だといって夫とともに往き、蛇に随って
巌穴に入り、黄巣《こうそう》が手ずから※《うず》めた無数の金銀を得大いに富んだと....
「続獄中記」より 著者:大杉栄
ばならぬようになったらどうだろう。 千葉では、僕等が出たあとですぐ、同志の赤羽
巌穴が何でもない病気で獄死した。その後大逆事件の仲間の中にも二、三獄死した。今後....
「半島一奇抄」より 著者:泉鏡花
り早うございますよ。樹の根、巌の角、この巌山の切崖に、しかるべき室に見立てられる
巌穴がありました。石工が入って、鑿で滑にして、狡鼠を防ぐには、何より、石の扉をし....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
見ては、蔦をたよりに縋りたし、湖を渡る霧を見ては、落葉に乗っても、追いつきたい。
巌穴の底も極めたければ、滝の裏も覗きたし、何か前世の因縁で、めぐり逢う事もあろう....
「蛇怨」より 著者:田中貢太郎
うとしてふと瀑下の方に眼をやると、その足はぴったり止った。瀑下の右になった窈黒な
巌穴から松の幹のような大蛇が半身をあらわして、上の方に這いあがろうとしているとこ....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
無く、もとより天下を味方にするの徳もなく、また天下を敵とするの勇もない。さりとて
巌穴《がんけつ》の間《かん》に清節を保つの高風もない。 上は公卿《くげ》の御機....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
「どうぞ、その、その前に先生、どこへか、人の居ない、谷底か、山の中か、島へでも、
巌穴へでも、お連れなすって下さいまし。もう、貴下にばかりも精一杯、誰にも見せられ....
「十二支考」より 著者:南方熊楠
と白鼠、白蛇は宝物の変化《へんげ》だろうと思い、夫を勧めて共に往きその蛇に随って
巌穴に入り、昔唐の賊黄巣が埋めた無数の金銀を得て大いに富んだという。今按ずるに、....
「阿英」より 著者:田中貢太郎
た。 夜が明けてから事情が解った。土寇の群は掠奪をほしいままにして、家を焼き、
巌穴に匿れている者まで捜し出して、殺したり虜にしたりしていったのであった。甘の家....
「遠野の奇聞」より 著者:泉鏡花
瀬激しければ、此方の岸より渡りゆくもの絶えてなし。一日里のもの通りがかりに、その
巌穴の中に、色白く姿乱れたる女一人立てり。怪しと思いて立ち帰り人に語る。驚破とて....
「河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
土産に、と書いています。 このあたりに、荒城の狭屋と称えて、底の知れない断崖の
巌穴があると云って、義経の事がまた出ました。 免れられない……因縁です。」 ....
「ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
になって、己のした馬鹿さ加減は、
小さくない事になるのだて。
山の上、
巌穴の間に、神聖なる隠遁者等分かれゐる。
合唱の声と谺響と
揺ぎて靡き....