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川舟
「川舟〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
川舟の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「心中浪華の春雨」より 著者:岡本綺堂
雨の音を気づかいながら訊《き》いた。 「朝の六つ半に八軒屋《はちけんや》から淀の
川舟に乗って行く。あしたは旅立ちよしという日と聞いているから、大抵の雨ならば思い....
「草枕」より 著者:夏目漱石
作りがゆる過ぎたと見えて、ぴかりと、寒いものが一|寸《すん》ばかり光った。 十三
川舟《かわふね》で久一さんを吉田の停車場《ステーション》まで見送る。舟のなかに坐....
「出家とその弟子」より 著者:倉田百三
どでございました。 僧三 私はあの時鳥羽の南門までお供をいたしました。それからは
川舟でした。長くなった白髪に梨打烏帽子をかぶり、水色の直垂を召した聖人様がお輿か....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
川越で、米問屋と酒問屋を兼ねた大きな商家の主人であったころには、川越と江戸の間を
川舟でよく往来したという。生来の寡欲と商法の手違いとから、この多吉が古い暖簾も畳....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
た。しばらく彼は書記官としての自分の勤めも忘れて、大坂|道頓堀と淀の間を往復する
川舟、その屋根をおおう画趣の深い苫、雨にぬれながら櫓を押す船頭の蓑と笠なぞに見と....
「石狩川」より 著者:本庄陸男
れた。「イシカリより溯《さかのぼ》ること十里のツイシカリは伏見に等しき地となり、
川舟三里をのぼりサッポロの地ぞ、帝京の尊きにも及ばん」と、そう唱えた旧幕の道路掛....
「渋江抽斎」より 著者:森鴎外
に、三人の手伝が出来た。阿部伊勢守正弘の家来|伊沢磐安、黒田豊前守直静の家来|堀
川舟庵、それから多紀|楽真院門人|森養竹である。磐安は即ち柏軒で、舟庵は『経籍訪....
「御萩と七種粥」より 著者:河上肇
は岩国駅に近い。しかし当時はまだそんな鉄道など見ることも出来なかった。で、叔母は
川舟に乗って嫁入をした。 叔母がその時どんな服装をしていたか、全く覚えていない....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
るを踏みつけたようなペッタリした舟だワイ、あちらの岸の舟もそうだ。 いったい、
川舟と草鞋《わらじ》は土地土地によって違う。
川舟の形というものは、土地のものがそ....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
ウスは言う、恋は世の人すべてのものなり! 今日、学生が女学生と共にサン・クルーの
川舟に乗るのは、昔アスパジアがペリクレスと共にサモスの流れに浮かんだのと同じであ....
「後の業平文治」より 著者:三遊亭円朝
して新潟へ往く支度をして居ります。御案内でもございましょうが、十六里、十五里とも
川舟で、夜に掛って往くのでございます。 二十七 さて文治は漸く新潟に着きま....
「空中征服」より 著者:賀川豊彦
ます」 こう言うて降壇してしまった。 「議長質問」と呼声高く立ち上ったのは安治
川舟三という石炭商であった。 「これは、私の立場から申しますとまことに変なように....
「赤い土の壺」より 著者:田中貢太郎
は舟を出そう」 と、云って竹藪の竹の根本を縛ってある縄のほうへ往った。底の浅い
川舟は、やがてその底をざらざらと小石に当てながら流れに浮んだ。 星がまばらに見....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
葉もあるのを」 難波の旅寝をその夜かぎりとして、次の日の主従はもう京へのぼる淀
川舟の上だった。 「いい川だなあ、淀川は」 舟べりに肱をもたせて、又太郎はうつ....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
べる要はなかった。読者は思い出して欲しい。 かつて高氏が、忍び上洛の帰途、淀の
川舟のうちで乗り合せた一見すこぶる異彩な若公卿があったことを。 後日には、高氏....