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川霧
「川霧〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
川霧の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「夜の隅田川」より 著者:幸田露伴
魂を使われて居る手合が多いのだから、大川の夜景などを賞しそうにも無い訳だ。まして
川霧の下を筏の火が淡く燃えながら行く夜明方の空に、杜鵑が満川の詩思を叫んで去るという清絶爽絶の趣を賞することをやだ。....
「黒髪」より 著者:近松秋江
えているうちに、靄とも煙ともつかず、重く河原の面を立ちこめていた茜色を帯びた白い
川霧がだんだん中空をさして昇ってくる朝陽の光に消散して、四条の大橋を渡る往来の人....
「石狩川」より 著者:本庄陸男
、そこの綱がとけたのかも知れない。流れに乗って海岸に押しだされたのかも知れない。
川霧の消えて行くその朝、河岸では、筏をさがす彼らの姿が隠見した。霧さえ消えてしま....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
の河原をずっと見込みました。 前に言う通り、残《のこ》んの月夜のことですから、
川霧の立てこむる鴨川の河原が絵のように見えます。その河原の中を走る二筋のせせらぎ....
「十二支考」より 著者:南方熊楠
某《それがし》ヴィシュヌを念ずるに一心にして妻がいかにかの一儀を勤むるも顧みず「
川霧に宇治の橋姫朝な/\浮きてや空に物思ふ頃」ほかにいいのがあるんだろうと、九月....
「ほととぎす」より 著者:堀辰雄
が絶えた形になった。 九月、十月とたち、早朝など蔀《しとみ》を上げて見出すと、
川霧が一めんに立ちこめていて、山々は麓《ふもと》すら見えないようなこともあった。....
「源氏物語」より 著者:紫式部
しめやかにこころの濡れぬ
川霧の立ち まふ家はあはれなるかな (晶子) そのころ世間から存在を無視され....
「源氏物語」より 著者:紫式部
。外をながめながら後ろの板へよりかかっていた薫の重なった袖が、長く外へ出ていて、
川霧に濡れ、紅い下の単衣の上へ、直衣の縹の色がべったり染まったのを、車の落とし掛....
「溺るるもの」より 著者:豊島与志雄
ぽつりぽつりついてるだけで、低く黒ずんでる右手の方、河岸伝いの新道を眼で辿った。
川霧の交った夜の靄がかけていて、遠くはぼーっとしていた。まだ川の縁に蹲ってる筈の....
「顎十郎捕物帳」より 著者:久生十蘭
いて女の声のするほうを斜めに見おろした途端、顎十郎は思わず、ほう、と声をあげた。
川霧がたてこめて月影は薄いが、ちょうど月の出で、蒼白い月光が断崖の面へ斜めにさし....
「地上」より 著者:島田清次郎
座敷に帰って来ると、彼ももう起きて「山岳」のように坐っていた。窓外は一面の乳色の
川霧が森林の上層を速やかに流れていた。 朝飯もすまさないうちに訪問の客があった....
「少年連盟」より 著者:佐藤紅緑
ない。彼はいさぎよく渡川の任務をひきうけたのだった。 ボートは川岸をはなれた。
川霧はまったく晴れてオールに破れた川面が、小波をたてて、日にキラキラと光った。モ....
「丸の内」より 著者:高浜虚子
清き月夜にこゝだ散り来る ほとゝぎす来啼きどよもす橘の花散る庭を見む人や誰 天の
川霧たちわたり彦星のかぢの音聞ゆ夜の更け行けば 今朝啼きて行きし雁金寒みかもこの....
「快走」より 著者:岡本かの子
進んだ。道子が堤防の上に立ったときは、輝いていた西の空は白く濁って、西の川上から
川霧と一緒に夕靄が迫って来た。東の空には満月に近い月が青白い光りを刻々に増して来....