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「巣くう〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

巣くうの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
虚構の春」より 著者:太宰治
感じてくるばかりで、傍観者として呆然《ぼうぜん》としているばかりである。僕自身へ巣くう生半可な態度は、おそらくいつまでもつづくことと思われます。僕の健康は、人に....
」より 著者:島崎藤村
の心まかせに成ったのも、何卒して夫の愛を一身に集めたいと思ったからで……夫の胸に巣くう可恐しい病毒、それが果して夫の言うように、精神の過労から発したのか、それと....
新ハムレット」より 著者:太宰治
ん。時刻も、もはや丑満時です。城内の者は、もとより、軒端に宿る小鳥たち、天井裏に巣くう鼠、のこらずぐっすり眠って居ります。聞いている者は、誰も無い。さあ、おっし....
みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
ある時書院の雨戸をしめて居た妻がきゃっと叫んだ。南の戸袋に蛇が居たのである。雀が巣くう頃で、雀の臭を追うて戸袋へ来て居たのであろう。其翌晩、妻が雨戸をしめに行く....
白峰山脈縦断記」より 著者:小島烏水
りて、自由に奔放する水音が聞えたら、まあどんなに愉快だろう――谷川の流れる末に、巣くう人里などは、考えるさえ、まだ遠いのである。 二等三角点に添って、西へと向....
海の使者」より 著者:泉鏡花
が、いかに朽ちたればといって、立樹の洞でないものを、橋杭に鳥は棲むまい。馬の尾に巣くう鼠はありと聞けど。 「どうも橋らしい」 もう一度、試みに踏み直して、橋の....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
かったのに、どうしてこちらへばかり足が向いたのか。 越鳥《えっちょう》は南枝に巣くうということだが、いい知らぬ人情が、本能的に人を故郷の方へ向けてしまうと見え....
おとずれ」より 著者:国木田独歩
るといえども、素知らぬ顔して弁解の文を二郎が友、われに送りぬ。げに偽りという鳥の巣くうべき枝ほど怪しきはあらず、美わしき花咲きてその実は塊なり。 二郎が家に立....
湯元の秋」より 著者:豊島与志雄
、牛の群れが戯れるによく、羽の美しい甲虫が這い廻るによく、人の寝転ぶによく、鳥が巣くうによい。じっと寝転んでいると、すぐ顔の上を小鳥が空に舞い上って囀っている。....
丸の内」より 著者:高浜虚子
リルルーム」というのがある。 それから反対の側の鉄道の下のガードには、その中に巣くうている店がある。之は浅草の仲見世の売店の下等のようなものである。洋品店、床....
チェーホフの短篇に就いて」より 著者:神西清
。二つの主題とは、言うまでもなく、画家が妹娘によせる淡い恋心、および画家の内心に巣くう世紀末インテリ的な焦燥である。 もう一つ序でに、『犬を連れた奥さん』を分....
歌集『涌井』を読む」より 著者:和辻哲郎
も出てくるのである。蓮華草の田がすき返され、塀の外田に蛙が鳴き、米倉の屋根に雀が巣くう、というような情景もそうであるが、やがて郭公の来鳴くころに、 弟と笹の葉と....
魚と蠅の祝日」より 著者:マクラウドフィオナ
ムは立ち上がって壁にかけてあった笞《むち》をとった。しぶい微笑がその黒い髭の中に巣くう鳥のように動いた。 「オランよ、平和のために、キイルよ、平和のために」 ....
三国志」より 著者:吉川英治
わくば自分に精兵五千を授け給え。直ちに禁門に入って、新帝を擁立し奉り、多年禁廷に巣くう内官どもをことごとく誅滅して見せましょう」 何進はよろこんで、 「行けっ....
三国志」より 著者:吉川英治
は、星のごとく、良い武将と謀臣をかかえているそうです。ひとつ、彼を用いて、社稷に巣くう奸党を剿滅なされたら如何なものでしょう。……われわれ憂いを抱く朝臣はもとよ....