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「左前〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

左前の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
合うのじゃ。それも申し立てがちと奇妙でござってのう、長年、ごめんどううけた主家が左前になったゆえ、ほっておいてはこの年の瀬も越せぬ、世間にぼろを出さず、鈴文の信....
右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
盛、それにひきかえ、ご本寺はあそこの鐘楼の石がきでもわかるとおり、ちっとご身代が左前のご様子だからな。それゆえに、あの分かれ地蔵を何かよからぬ了見からさらしもの....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
「お磯の家は相当の百姓だったそうですが、親父の駒八の代になってから、だんだんに左前《ひだりまえ》になって総領娘のお熊に婿を取ると、乳呑児《ちのみご》ひとりを残....
旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
「と仰せられますると?……」 「久しく手土産を頂かぬので喃、七十三万石も近頃は左前かと、人ごとならず心配しておるのじゃ。どうじゃな。米なぞも少しはとれるかな」....
八人みさきの話」より 著者:田中貢太郎
畳の上を見詰めながら元親の命を伝えた。 「確にお受けいたした、人の運が尽きると、左前となって逆道が多い、逆道で家の立って往く道理がない、長宗我部の家もここ五六年....
足迹」より 著者:徳田秋声
商いに取り着けるほどの金を浚って、女をつれて逃げて来た。そのころにはその楼も大分左前になっていた。 その亭主は大して患いもしないで、去年の秋のころに死んでから....
自画像」より 著者:寺田寅彦
が写生をしているうちに始めてその事実がほんとうに体験されるような気がした。衣服の左前なくらいはいいとしても、また髪の毛のなでつけ方や黒子の位置が逆になっているく....
浮かぶ飛行島」より 著者:海野十三
、まさしくそのとおりであった。 次にその敏感なる人は、汽船ブルー・チャイナ号の左前方に、ほほ並行の進路を保って、六隻からなる駆逐艦隊の明りが走ってゆくのを見た....
縷紅新草」より 著者:泉鏡花
可訝いかな。おなじ穴の狸……飛んでもない。一升入の瓢は一升だけ、何しろ、当推量も左前だ。誰もお極りの貧のくるしみからだと思っていたよ。」 また、事実そうであっ....
現代忍術伝」より 著者:坂口安吾
とな」 「ハッ。実は社長に後事を託されまして、命によって伺いましたが、天草商事も左前の様子で、身代金がととのわず、社長も間に立って困却しております」 「イヤ、そ....
」より 著者:岡本綺堂
てられては商売の邪魔になる。もう一つにはお常も人情、むかしは世話になった由兵衛が左前になっているのを知ると、さすがに気の毒だという念も起る。殊にこのごろは自分た....
春宵因縁談」より 著者:佐藤垢石
が当然である。 古い関係者は、それぞれ社会に立って活動はしているが、旧い主家の左前は寂しい。故郷の村に住んでいた年月よりも、有楽町の土を踏んでいた歳月の方が比....
頭蓋骨の秘密」より 著者:小酒井不木
す。それから、死骸と衣服を見ると、泥のついていない部分が、左側にあるので、衣服が左前に着せてあったことが分かります。衣服を左前に着ているということは、子供の手で....
墓が呼んでいる」より 著者:橘外男
でやすが、ジーナ嬢様の死体は、ついその辺から上がったでがして……」 とすれば、左前頭部に一弾を受けて、ジーナが血煙立てて倒れたのも、またこの辺であろう。万籟闃....
オスカー・ブロズキー事件」より 著者:妹尾アキ夫
員が、電報をもって立っていた。駅長はそれを手にとって読んだ。 「機関車点検した。左前の車に血痕、次の車にかすかな血痕をみとむ。そのた異状なし。」 読み終ると、....