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差し
「差し〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
差しの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「玄鶴山房」より 著者:芥川竜之介
環《ゆびわ》に何か世帯じみた寂しさを感じた。
「これは兄が檀那様《だんなさま》に
差し上げてくれと申しましたから。」
お芳は愈《いよいよ》気後れのしたように古い....
「戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
われて、寂しくなったこともよくあった。が、一方またそれが自分の芸術的良心を計る物
差しとして、尊《とうと》みたいと思ったこともたびたびある。ただ、それを俗人の穿鑿....
「冬」より 著者:芥川竜之介
僕は従兄の家の茶の間《ま》に近頃始めた薄荷《はっか》パイプを啣《くわ》え、従姉と
差し向いに話していた。初七日《しょなのか》を越した家の中は気味の悪いほどもの静か....
「十円札」より 著者:芥川竜之介
た十円札が一枚、それ自身|嬌羞《きょうしゅう》を帯びたように怯《お》ず怯《お》ず
差し出されていたことだけである。………
――――――――――――....
「彼」より 著者:芥川竜之介
の言葉の通り、弘法麦《こうぼうむぎ》の枯《か》れ枯《が》れになった砂の中へ片手を
差しこんで見た。するとそこには太陽の熱がまだかすかに残っていた。
「うん、ちょっ....
「年末の一日」より 著者:芥川竜之介
った。………
K君の来たのは二時前だった。僕はK君を置き炬燵に請《しょう》じ、
差し当りの用談をすませることにした。縞《しま》の背広を着たK君はもとは奉天《ほう....
「温泉だより」より 著者:芥川竜之介
ったのです。いや、五百円の金を貰ったのではない、二百円は死後に受けとることにし、
差し当りは契約書《けいやくしょ》と引き換えに三百円だけ貰ったのです。ではその死後....
「お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
。生来|薄手《うすで》に出来た顔が一層今日は窶《やつ》れたようだった。が、洋一の
差し覗《のぞ》いた顔へそっと熱のある眼をあけると、ふだんの通りかすかに頬笑《ほほ....
「馬の脚」より 著者:芥川竜之介
事務室のまん中の大机には白い大掛児《タアクワル》を着た支那人《シナじん》が二人、
差し向かいに帳簿を検《し》らべている。一人《ひとり》はまだ二十《はたち》前後であ....
「海のほとり」より 著者:芥川竜之介
うわさ》などした。
僕等のいるのは何もない庭へ葭簾《よしず》の日除《ひよ》けを
差しかけた六畳|二間《ふたま》の離れだった。庭には何もないと言っても、この海辺《....
「追憶」より 著者:芥川竜之介
の一家は宇治紫山という人に一中節を習っていた。この人は酒だの遊芸だのにお蔵前の札
差しの身上をすっかり費やしてしまったらしい。僕はこの「お師匠さん」の酒の上の悪か....
「出来上った人」より 著者:芥川竜之介
なければ、気を使われようとも思っていない。庭をいじって、話を書いて、芋がしらの水
差しを玩んで――つまり前にも言ったように、日月星辰前にあり、室生犀星茲にありと魚....
「良夜」より 著者:饗庭篁村
合う中にて人の物を掠め去らんとする者あり。肌へ着けたりとて油断ならずと懐中へ手を
差し入れて彼の胴巻を探るに、悲しやある事なし。気絶して其所に倒れんとするほどにな....
「ファラデーの伝」より 著者:愛知敬一
カロリン・フォックスに送って、この婦人からホーランド男の手を経て、メルボルン男に
差し出した。 初めにファラデーはサウスに、やめてくれと断わりを言ったが、ファラ....
「親ごころ」より 著者:秋田滋
前を通った。教会から出て来ると、彼はその人たちにお辞儀をした。そして浄めのお水を
差しだすと、その男は年をとったほうの婦人の腕を小脇にかかえるようにした。 (この....