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「差出す〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

差出すの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
海異記」より 著者:泉鏡花
はやく持って行って下さいまし。」 今度はやや近寄って、僧の前へ、片手、縁の外へ差出すと、先刻口を指したまま、鱗でもありそうな汚い胸のあたりへ、ふらりと釣ってい....
鍵から抜け出した女」より 著者:海野十三
下さるでしょう。……では貴方の幸福をお祈りして、そしてお別れしますわ」 手紙を差出す庵主の手を、僕は思わずグッと握りしめた。 「ありがとう。どんなにか感謝いた....
三狂人」より 著者:大阪圭吉
げると、宇吉へ、 「灯を見せて下さい」 と云った。 顫える手で、宇吉が蝋燭を差出すと、博士は両手の親指で、屍骸の足裏をグイグイと揉みはじめた。揉みはじめたの....
三の字旅行会」より 著者:大阪圭吉
配になって来た。 ところが、やがてその洋装娘が、宇利氏の前までやって来て切符を差出すと、受けとった宇利氏は、娘をやり過して置いて、いきなり手を前に出し、あとか....
宇宙戦隊」より 著者:海野十三
でこんなものを拾ったのです。これまでにごらんになったことがありますか」 帆村が差出すのを、博士は紙のまま受取って、机の上に置いた。調査隊の七人組が、そのまわり....
鷭狩」より 著者:泉鏡花
が悪うございましょうのに。」 と釣込まれたように、片袖を頬に当てて、取戻そうと差出す手から、ついと、あとじさりに離れた客は、手拭を人質のごとく、しかと取って、....
愛よ愛」より 著者:岡本かの子
あるまい。もういくたりの児の父となって。もし逢ってもその人達はこの人になつかしく差出す手を用意して居るに相違ない。そういえばわたしとてよくもこの人を庇い通した―....
伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
であろうと、まず慰めながら、居直って、今まで前にしたと反対の側を、衝と今度は腕を差出すようにしたが、それも手ばかり。 はッと俯向き、両方へ、前後に肩を分けたけ....
多神教」より 著者:泉鏡花
、森の中へ放し込め。 仕丁、その言の如くにす。―― お沢 あの……(ふるえながら差出す手を、払いのけて、仕丁。森に行く。帯を投げるとともに飛返る。) 神職 何と....
坑鬼」より 著者:大阪圭吉
鉄扉を引き開いた。異様な生温い風が闇の中から流れて来た。二人は薄暗い安全燈の光を差出すようにしながら、開放された発火坑に最初の足跡をしるして踏み込んだ。踏み込ん....
河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
りの雲を浴びて背戸の映山紅が真紅だった。つい一句を認めて、もの優しい茶屋の女房に差出すと、渋茶をくんで飲んでいる馬士が、俺がにも是非|一枚。で、……その短冊をや....
三枚続」より 著者:泉鏡花
、」といって顔を出した以前の小間使、先刻意を了したと見えて二本ばかり団扇をそれへ差出す折から、縁側に跫音して、奥の方から近いたが、やがてこの座敷の前の縁、庭樹を....
註文帳」より 著者:泉鏡花
作平頼む、と差配さんが置いて行かれた。畏り奉るで、昨日それが出来て、差配さんまで差出すと、直に麹町のお邸とやらへ行かしった。 点火頃に帰って来て、作、喜べと大....
卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
りがっくりと髪も重そうに壁を向いた処へ、もう一度、きみの母親がのしかかって嬰児を差出すと、今度は少し仰向けになったと思うと、お母さんの白い指が、雪の降止もうとす....
温泉雑記」より 著者:岡本綺堂
れを半紙に乗せて盆の上に置き、御退屈でございましょうからといって、土産のしるしに差出すのである。 貰った方でもそのままには済まされないから、返礼のしるしとして....