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差置く
「差置く〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
差置くの前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「婦系図」より 著者:泉鏡花
て、小さな靴を思う様|上下に刎ねて、外国人の前へ行くと、小刀と林檎と一緒に放して
差置くや否や、にょいと手を伸ばして、小児を抱えて、スポンと床から捩取ったように、....
「海異記」より 著者:泉鏡花
と面くらった身のまわり、はだかった懐中から、ずり落ちそうな菓子袋を、その時縁へ
差置くと、鉄砲玉が、からからから。 「号外、号外ッ、」と慌しく這身で追掛けて平手....
「薬草取」より 著者:泉鏡花
者が蘇生ったようになって、家へ帰りましたが、丁度全三月経ったです。 花を枕頭に
差置くと、その時も絶え入っていた母は、呼吸を返して、それから日増に快くなって、五....
「貝の穴に河童の居る事」より 著者:泉鏡花
のみならず。――すぐこの階のもとへ、灯ともしの翁一人、立出づるが、その油差の上に
差置く、燈心が、その燈心が、入相すぐる夜嵐の、やがて、颯と吹起るにさえ、そよりと....
「女客」より 著者:泉鏡花
此方に手を伸ばすと、見得もなく、婦人は胸を、はらんばいになるまでに、ずッと出して
差置くのを、畳をずらして受取って、火鉢の上でちょっと見たが、端書の用は直ぐに済ん....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
彩色の浮世絵の折本が一冊、ほころびかかっているのを見たものですから、油壺をそこへ
差置くと、その折本をたぐってみました。 見れば、それは源氏の五十余帖を当世風に....
「政談十二社」より 著者:泉鏡花
言外おのずからその明眸の届くべき大審院の椅子の周囲、西北三里以内に、かかる不平を
差置くに忍びざる意気があって露れた。 「どうぞまあ、何は措きましてともかくもう一....
「反抗」より 著者:豊島与志雄
保子と隆吉とが出て来た。保子は手に小さな風呂敷包みを持っていた。それを定子の前に
差置くと、定子は黙って受取った。 「それでは、横田さんへどうぞ宜しく仰しゃって下....
「多神教」より 著者:泉鏡花
くしたる包一つ、怪き紐にてかがりたるを不気味らしく提げ来り、神職の足近く、どさと
差置く。) 神職 神のおおせじゃ、婦、下におれ。――誰ぞ御灯をかかげい――(村人....
「魔都」より 著者:久生十蘭
り出し、庁内で誰一人知らぬものはない総監愛用のこのちっちゃな品物をテーブルの上へ
差置くと、鄭重に一礼したのち、静かに扉を開けて出て行った。
二十三、仇な取....
「法然行伝」より 著者:中里介山
の話でもする時にはそれを聞く為か、念仏の声が少し低くなるだけのことで一向に念仏を
差置くということはなかった。 法然が或時語って云う。 「われ浄土宗を立つる心は....