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「差込〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

差込の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
籠釣瓶」より 著者:岡本綺堂
持病の癪の虫が頭をもたげた。さなきだに狂いかかっている彼女は、突然におそって来た差込《さしこ》みの苦痛に狂って倒れた。それは浮橋がここを出ると間もない出来事であ....
高野聖」より 著者:泉鏡花
若いのの(りょうまちす)が全快、お苦しそうなといって腹をさすってやると水あたりの差込《さしこみ》の留《と》まったのがある、初手《しょて》は若い男ばかりに利いたが....
国貞えがく」より 著者:泉鏡花
、氷のように冷めたかった。そこで、小さな懐中《ふところ》へ小口《こぐち》を半分|差込《さしこ》んで、圧《おさ》えるように頤《おとがい》をつけて、悄然《しょんぼり....
深夜の市長」より 著者:海野十三
と、万一、誰かに見咎められるかもしれない虞れがあったからだ。腋の下まで充分に腕を差込んで置いて、それから僕は手探りに、左の方の壁を撫でまわした。それは漆喰で固め....
金魚撩乱」より 著者:岡本かの子
分の神経衰弱から来る妄念のせいにしていた。 いま、暴風のために古菰がはぎ去られ差込む朝陽で、彼はまざまざとほとんど幾年ぶりかのその古池の面を見た。その途端、彼....
河明り」より 著者:岡本かの子
お願い申します」 老父は右手の薬煙草をぶるぶる慄わして、左の手に移し、煙草盆に差込むと、開いた右の手で何処へ向けてとも判らず、拝むような手つきをした。それは素....
綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
薬前薬後 盂蘭盆の迎い火を焚くという七月十三日のゆう方に、わたしは突然に強い差込みに襲われて仆れた。急性の胃痙攣である。医師の応急手当てで痙攣の苦痛は比較的....
宇宙尖兵」より 著者:海野十三
そうな笑みを浮べている。 博士の手によって、電極がベラン氏の足の裏を押すように差込まれた。硝子の底蓋が嵌られた。接合面のふちに、グリースらしきものが塗られた。....
菎蒻本」より 著者:泉鏡花
話しました事を、――その大木戸向うで、蝋燭の香を、芬と酔爛れた、ここへ、その脳へ差込まれましたために、ふと好事な心が、火取虫といった形で、熱く羽ばたきをしたので....
茸の舞姫」より 著者:泉鏡花
厭…… 幼い同士が威勢よく唄う中に、杢若はただ一人、寒そうな懐手、糸巻を懐中に差込んだまま、この唄にはむずむずと襟を摺って、頭を掉って、そして面打って舞う己が....
月の夜がたり」より 著者:岡本綺堂
は姿をみせない。当夜が明月であると、きっと出てくる。どこかの隙間から月のひかりが差込んで、何かの影が浮いてみえるのかとも思ったが、ほかの月夜の晩にはかつてそんな....
寡婦」より 著者:秋田滋
いぶ気にかけていたのです。 九日目の朝のことでした、私が起きますと、扉の下から差込んだ一枚の紙片があるのが目にとまりました。拾いあげて、開いて読みますと、こう....
式部小路」より 著者:泉鏡花
丹平は言を改め、 「さて、先生、何んでも愛の奴は、その中でも、お嬢さんが酷く差込んだというのを気にして、尋ねますから、婆さんが、その時だ。 一心不乱に蘭蝶....
黒猫十三」より 著者:大倉燁子
とみえて、アパートの主人に喚び起された時には、正午近い太陽がベッドの裾の上にまで差込んでいて、ちょっと※が開けられない位眩しかった。明るいはずだ、昨夜はブライン....
機密の魅惑」より 著者:大倉燁子
ながら、薄暗がりに立って、また暫時私の寝息を覗っている風でした。 窓|硝子から差込む月の光が蒼白いためか、夫人の顔は幽霊みたいに蒼く見えるのです。そしてまるで....