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己
「己〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
己の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
ういうものが、無意味な一列を作って、ただ雑然と彼の眼底を通りすぎた。
「どうして
己《おれ》は、
己の軽蔑している悪評に、こう煩わされるのだろう。」
馬琴はまた、....
「疑惑」より 著者:芥川竜之介
活《れいかつ》な解決を与え得るほど、融通の利《き》く頭脳の持ち主だとは遺憾ながら
己惚《うぬぼ》れる事が出来なかった。すると彼は私の逡巡《しゅんじゅん》に早くも気....
「犬と笛」より 著者:芥川竜之介
ま》を沢山ぶらさげた、足の一本しかない大男が現れて、
「お前は仲々笛がうまいな。
己《おれ》はずっと昔から山奥の洞穴《ほらあな》で、神代《かみよ》の夢ばかり見てい....
「開化の良人」より 著者:芥川竜之介
さえなりました。すると三浦も盃《さかずき》を含みながら、『それ見るが好《い》い。
己《おれ》がいつも云う通りじゃないか。』と、からかうように横槍《よこやり》を入れ....
「河童」より 著者:芥川竜之介
痛を伴い、平和は倦怠《けんたい》を伴うとすれば、――?
×
自
己を弁護することは他人を弁護することよりも困難である。疑うものは弁護士を見よ。
....
「奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
思われなかった。
「あんまり罪な事をするのは御止しなさいよ。」
「かまうものか。
己《おのれ》に出でて
己に返るさ。おれの方ばかり悪いんじゃない。」
牧野は険《け....
「金将軍」より 著者:芥川竜之介
さ》、始めて至り、大唐の船師と合戦《たたか》う。日本《やまと》利あらずして退く。
己酉《つちのととり》(二十八日)……さらに日本《やまと》の乱伍《らんご》、中軍《....
「煙管」より 著者:芥川竜之介
れいに剃《そ》った頭を一つたたいて恐縮したような身ぶりをした。
「手前が貰わざ、
己《おれ》が貰う。いいか、あとで羨《うらやま》しがるなよ。」
河内山はこう云っ....
「蜘蛛の糸」より 著者:芥川竜之介
ありません。
そこで※陀多は大きな声を出して、「こら、罪人ども。この蜘蛛の糸は
己《おれ》のものだぞ。お前たちは一体誰に尋《き》いて、のぼって来た。下りろ。下り....
「或日の大石内蔵助」より 著者:芥川竜之介
の中に、復讐の挙を全然忘却した駘蕩《たいとう》たる瞬間を、味った事であろう。彼は
己《おのれ》を欺いて、この事実を否定するには、余りに正直な人間であった。勿論この....
「或恋愛小説」より 著者:芥川竜之介
ゅ》した場合は別問題ですが、万一失恋でもした日には必ず莫迦莫迦《ばかばか》しい自
己犠牲《じこぎせい》をするか、さもなければもっと莫迦莫迦しい復讐的精神を発揮しま....
「格さんと食慾」より 著者:芥川竜之介
宇野浩二は聡明の人である。同時に又多感の人である。尤も本来の喜劇的精神は人を欺くことがあるかも知れない。が、
己を欺くことは極めて稀にしかない人である。 のみならず、又宇野浩二は喜劇的精神....
「ファラデーの伝」より 著者:愛知敬一
し」というのであった。 ファラデーが最初デビーに手紙を送ったときには、商売は利
己的のもので嫌だと言った。デビーは、それは世間見ずの若い考で、数年も経つとその非....
「狂人日記」より 著者:秋田滋
惟によって、万物を反映する。なお、記憶と意識とによって、世を要約し、世の歴史を自
己の中に蔵めている。各個の人間は、物の鏡、事実の鏡であって、宇宙の中で一つ一つの....
「三人の百姓」より 著者:秋田雨雀
人の方を見て、手を振っているのが、見えました。 「どうしたんだべいな? 伊作あ、
己らを呼んでるてばな。」 と多助が言いました。太郎右衛門も顔をしかめて坂の下を見....