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己と
「己と〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
己との前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「袈裟と盛遠」より 著者:芥川竜之介
くれるからかも知れない。
しかしそう云えるほど、己は袈裟を愛しているだろうか。
己と袈裟との間の恋愛は、今と昔との二つの時期に別れている。己は袈裟がまだ渡に縁づ....
「侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
軽蔑は多々益々|恬然《てんぜん》と虚偽を吐かせるものである。この故に我我の友人知
己と最も親密に交る為めには、互に利害と軽蔑とを最も完全に具《そな》えなければなら....
「青年と死」より 著者:芥川竜之介
己にはお前の顔がだんだん若くなってゆくのが見える。
第三の声 (静に)夜明だ。
己と一緒に大きな世界へ来るがいい。
黎明《れいめい》の光の中に黒い覆面をした男....
「霊訓」より 著者:浅野和三郎
何とも他に致方がないのである。われ等は、地上生活中の自己の姓名を名告り、そして自
己と同時代の性行閲歴につきて、事こまやかに物語るであろう。さすれば、われ等が決し....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
が出来ない。何故なら、そこには自己がなくしてただ習性があるばかりだから、外界と自
己との間には無機的な因縁があるばかりだから。私は石から、せめては草木なり鳥獣にな....
「星座」より 著者:有島武郎
徠《おぎゅうそらい》が濫《みだ》りに外来の思想を生嚼《なまかじ》りして、それを自
己という人間にまで還元することなく、思いあがった態度で吹聴《ふいちょう》している....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
の光を世に現わさず、 フォエベの鎌はまだ望月と成らざりき。 地は未だ今のごとく、
己と釣合いて空際に浮ばず またアムフィトリートの腕は未だ我が物と 遠く広がる国々....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
て貰いたいのよ。さあ、どこでも非難をして見ろ、と裸体で見せて差支えの無いように、
己と、謹とで育てたんだ。 何が可恐い? 何が不平だ? 何が苦しい? 己は、渠等....
「貝の穴に河童の居る事」より 著者:泉鏡花
たで、留守は、女子供だ。相談ぶつでもねえで、すぐ引返して、しめた事よ。お前らと、
己とで、河童に劫されたでは、うつむけにも仰向けにも、この顔さ立ちっこねえ処だった....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
につけて、草履|穿きで裾をからげた、杖を突張った、白髪の婆さんの、お前さんとは知
己と見えるのが、向うから声をかけたっけ。お前さんが話に夢中で、気が着かなんだもの....
「人間山中貞雄」より 著者:伊丹万作
得て妙である。 監督協会の成立とともに日本の監督の九十パーセントを私は新しい知
己として得たし、この中には随分偉い人も好きな人もあるがまだ山中ほど愛すべきはいず....
「孔乙己」より 著者:井上紅梅
また解るような解らぬようなあいまいの中に彼のために一つの確たる仇名が出来て、孔乙
己と呼ばれるようになった。 孔乙己が店に来ると、そこにいる飲手は皆笑い出した。....
「花束の虫」より 著者:大阪圭吉
筈になっていた。が、その帰京に先立って、意外な不幸に見舞われたのだ。――勿論、知
己と迄言う程の深いものではなかったが、身寄のない直介の財産の良き相談相手であり同....
「生の拡充」より 著者:大杉栄
る生の活動方向をとっているものは、ただに僕一人ではない。真に自己を自覚し、また自
己と周囲との関係を自覚した人々は、今日なおはなはだ少数ながらも、しかもすでに断乎....
「続獄中記」より 著者:大杉栄
もりで、迎いに来られた時には、わざわざその用意までして出掛けたのだ。僕はまた、克
己とか節制とかいうことの、ことさらの何の修養をも積んでいた訳ではない。反対に、そ....