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已に
「已に〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
已にの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「土俗玩具の話」より 著者:淡島寒月
好奇心を満足せしむるを以ってやむものでない事は、人類最古の文明国たりし埃及時代に
已に見事なものが存在したのでも知られる。英国の博物館には、四、五千年前のミイラの....
「「吶喊」原序」より 著者:井上紅梅
喜ばせるものだが、時にまた、人をして寂寞たらしむるを免れないもので、精神の縷糸が
已に逝ける淋しき時世になお引かれているのはどういうわけか。わたしはまるきり忘れる....
「阿Q正伝」より 著者:井上紅梅
村もいよいよ駄目だ、城内に行く方がいいと想った。 大根を三本食ってしまうと彼は
已に城内|行を決行した。 阿Qが再び未荘に現われた時はその年の中秋節が過ぎ去っ....
「幸福な家庭」より 著者:井上紅梅
は……」 堪え切れなくなって彼はふり返ってみた。すると、彼の背後の本棚の脇には
已に一山の白菜置場が出現している。下層は三株、真中が二株、上が一株で、彼に向って....
「決闘場」より 著者:岡本かの子
た所だろう。 ワルトンは持前の早合点で言ってのけた。が彼の言葉を言い切るまでに
已に彼の頭の何処かで、彼の此の考察を引き留めるものがあった。でワルトンは不審そう....
「母と娘」より 著者:岡本かの子
直ぐ気付くと説明されて、成程私もそんな感じがすると言ったら笑われました。村人等は
已に村の上に低く垂れ下って来た災難に当惑と恐怖を以って眺めて居りました。それ打つ....
「大利根の大物釣」より 著者:石井研堂
、悲む如く、 『幾ら大きいか知れないよ。船でも引き寄せるようだ』と答えれば、船頭
已に玉網を手にして起ち、『急いではいけません、十分で弱りきるまで痿やして。』と言....
「青い風呂敷包」より 著者:大倉燁子
って、嘘の容態を云い、医者を欺いて手術をさせたんです。彼は病院へ馳けつける前に、
已に多量のカルモチンを嚥んでいた。それを知らずに、医者は手術のための麻酔剤をかけ....
「あの顔」より 著者:大倉燁子
あなたは赤ン坊の顔が妾にそっくりで、それを見ていると憎くなると仰しゃった、その時
已にあなたは手こそ下さないが、心には充分殺意を生じていたのだ、と、私は見ているん....
「鉄の処女」より 著者:大倉燁子
に――』 西医学博士談(博士は夫人の実兄である) 『私が馳けつけた時には、もう
已にこときれていて手の下しようもなかった。妹は冷静な女で、決して自殺するような弱....
「美人鷹匠」より 著者:大倉燁子
てあったものではないかとの疑いで、一度釈放された美人鷹匠へ捜査の手がのびた。女は
已に行方を晦ましていたが、ほどなく三河島の百軒長屋から挙げられた。 厳重な取調....
「鳩つかひ」より 著者:大倉燁子
ていやしないかなあ、一分間に七町位飛ぶそうだから――、吾々が先方へ着いた頃には、
已に犯人はダイヤを握って立ち去った後だったなんて事になりやしないかな」 「大丈夫....
「魂の喘ぎ」より 著者:大倉燁子
ましたように今日は当家の秘密を皆様にお話申上げたいと思います」と前置きして、 「
已に御承知の事でしょうが、話の順序として一応申上げます。私共夫婦は他家から養子に....
「深夜の客」より 著者:大倉燁子
汽車を飛び降りた影の一つも同人に違いない。聞き覚えのある声だと思ったのも道理だ。
已に彼女は通路で話していた彼の声を聞いていたのだから。 彼女の驚いている顔を見....
「機密の魅惑」より 著者:大倉燁子
んは最初ひたがくしにしていましたが、私が調査した結果を少しばかりほのめかすと彼は
已に私が何もかも知りつくしているものと思い込んで、有喜子殺害事件のあった当夜、彼....