巴旦杏[語句情報] » 巴旦杏

「巴旦杏〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

巴旦杏の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
神神の微笑」より 著者:芥川竜之介
《ロオマ》の大本山《だいほんざん》、リスポアの港、羅面琴《ラベイカ》の音《ね》、巴旦杏《はたんきょう》の味、「御主《おんあるじ》、わがアニマ(霊魂)の鏡」の歌―....
黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
を語るに適わしい顔貌を作るのだった。しかし、熊城は不審を唱えた。 「だが、胡桃・巴旦杏・桃葉珊瑚・水蝋木犀の四本では、結局正方形になってしまうぜ」 「いや、それ....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
る」が子供を釣った。子供は彼のそばへ走り寄った。その時、彼は自分の袂に入れていた巴旦杏を取り出して、青い光沢のある色も甘そうに熟したやつを子供の手に握らせた。そ....
クリスマス・カロル」より 著者:ディケンズチャールズ
珈琲の交じった香気が鼻に取って誠に有難かったり、乾葡萄が沢山あって而も極上等に、巴旦杏が素敵に真白で、肉桂の棒が長くかつ真直で、その他の香料も非常に香ばしく、砂....
星女郎」より 著者:泉鏡花
に卒倒するような憂慮なし、二人で散歩などが出来るようになったそうです。 一日、巴旦杏の実の青々した二階の窓際で、涼しそうに、うとうと、一人が寝ると、一人も眠っ....
真夏の夢」より 著者:有島武郎
しまいます。 ところでそこにきれいなきれいな赤|薔薇の色をした小さい花がさいて巴旦杏のようなにおいをさせていました。子どもはこれまでそんな小さな花を見た事がな....
世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
が、やがてどことなく間のぬけたような笑いを見せながら「砂糖漬けのオレンジを二つと巴旦杏を二つと、砂糖のついた栗を二つ」と鼻声で言う、この小男の老人の姿をこころに....
ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
やロシアやスカンジナヴィアやフランスなど各国でできたもの――ビールやシャンパンや巴旦杏《はたんきょう》酒や葡萄《ぶどう》酒――を、彼らはすべて一気に飲み下した。....
ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
り合っていた。溝渠《こうきょ》の廃址《はいし》の赤黒い迫持《せりもち》の下には白巴旦杏《しろはたんきょう》が咲いていた。よみがえったローマ平野の中には、草の波と....
サレーダイン公爵の罪業」より 著者:チェスタートンギルバート・キース
した。「では何かサレーダイン公爵が遺言でも」 「わしがサレーダイン公爵だ」老人は巴旦杏をもりもりと頬張りながら云った。 その時まで鳥の飛ぶ様を見ていた師父ブラ....
七重文化の都市」より 著者:野上豊一郎
れの目に最も奇異に映るのは、多少身分のある女が目を出して鼻を隠してることだ。目は巴旦杏《アマンド》のように大きく見開き、長い睫毛が美しく蔭をさして、それが全身を....
鸚鵡蔵代首伝説」より 著者:国枝史郎
黄昏のように暗かった。部屋の中央の辺りに一基の朱塗りの行燈が置いてあって、熟んだ巴旦杏のような色をした燈の光が、畳三枚ぐらいの間を照らしていた。 その光の輪の....
決闘」より 著者:神西清
する。 「まあ、あなた!」彼女はナヂェージダの顔を見ると、つきあい仲間に名高い『巴旦杏表情』というのを早速やって、飛び立つような声を出した、「あなたがお出でにな....
果物の幻想」より 著者:小川未明
、七つ頃のことです。昼ごろ、母は、使から帰って来ました。そしておみやげに、大きな巴旦杏を枕許に置いてくれました。私は熱のため、頭痛がするのを床の上に起き直って、....
凍るアラベスク」より 著者:妹尾アキ夫
くように微笑しているのです。私はその女の顔をいつでもはっきり見ることが出来ます。巴旦杏型のぱっちりした眼はどこか私が子供の時に死んだ母の眼に似ていて、頬から頤に....