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巷説
「巷説〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
巷説の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「津軽の虫の巣」より 著者:宮本百合子
中には、何、ただの噂だろうと、さしたる注意を向けぬ者もあった。が、その風評は単に
巷説に止まらず、事実津軽の城中では、それに就て事々しい評約が行われていたのである....
「渋江抽斎」より 著者:森鴎外
あった。水戸家の賄方を勤めた家で、或時代から故あって世禄三百俵を給せられていた。
巷説には水戸侯と血縁があるなどといったそうであるが、どうしてそんな説が流布せられ....
「惜別」より 著者:太宰治
て私のような鈍才無学の者には、他人の気持など、わかりっこないのであるが、しかし、
巷説の魯迅の転機は、私にはどうしても少し腑に落ちないところがあるので、敢えて苦手....
「世界の一環としての日本」より 著者:戸坂潤
う言葉も結局に於ては社会的に信用を博することが出来ないのであって、日本ではそれが
巷説とか甚だしきに至っては流言飛語とかと名づけられている。 民衆という言葉は最....
「蠅供養」より 著者:田中貢太郎
明上人は経を読んで、蠅を山上へ葬って卒都婆をたてた。これは元禄十五年に於ける京の
巷説の一つである。....
「都会に於ける中流婦人の生活」より 著者:豊島与志雄
が如何なる仕事をし如何なることを考えてるか、それを本当に知ってる者は極めて少い。
巷説伝うる所に依れば、昔板倉伊賀守が京都所司代に任ぜられる時、自分の仕事には一切....
「猫先生の弁」より 著者:豊島与志雄
ろいろな猫を飼ってみた。私の生れは寅歳で、寅歳生れの人の家には猫は育ちにくいとの
巷説があるが、それは嘘だ。私の家には、トラ猫もいたし、ブチ猫もいたし、黒猫もいた....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
通暁《つうぎょう》していた、もしくは通暁してるふうを見せかけていた。聞きかじった
巷説《こうせつ》やまたは多少了解してる事柄を、盛んにくり返していた。彼らはドイツ....
「画舫」より 著者:豊島与志雄
た、数々の名跡を周辺に鏤めようとも、畢竟は、湖底は寺院の香の灰に蔽われてるという
巷説を、否定できるものではない。それは人を眠らせはしよう、人を憩わせはしよう。然....
「水甕」より 著者:豊島与志雄
な風に、話はもう問題を通りこして、一般の経済情勢や政府の施策に及んでゆき、間々に
巷説や逸話を織りこみました。 仁木は黙って酒を飲みました。彼のそばについてる芸....
「碁にも名人戦つくれ」より 著者:坂口安吾
人位が呉八段に行く、つまり中国へ持って行かれてしまう、それを怖れているのだという
巷説であるが、こんなバカな話はない。 今日の日本に於てはチェスに於て、またあら....
「明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
し、結局、島田幾之進が何者であるか、ついに新十郎も突きとめることができないのだ。
巷説によれば、馬賊の頭目であり、海賊の親分であるとも云う。そして、この道場へ住み....
「雪の宿り」より 著者:神西清
る。自分としては戦乱にはもう厭々している。しかし主人の身になってみれば、紛々たる
巷説の入りみだれる中で、つい最近まで戦火の渦中に身を曝していたこの連歌師の口から....
「小知恵にとらわれた現代の法律学」より 著者:末弘厳太郎
かも法律にもはずれないものになるのである。 それで、私は、もし大岡裁判に関する
巷説のすべてが真実であるとすれば、大岡越前守はおそらくこの理想によほど近づいてい....
「穀神としての牛に関する民俗」より 著者:中山太郎
る。即ち同国でも牛が地神であり、かつ農耕に関係を有していることが知られる。さらに
巷説によると、我国――殊に秋田青森地方で、牛をベコと云うているのは、印度のべこを....