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「市中〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

市中の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
寒さ」より 著者:芥川竜之介
も、借家《しゃくや》のないのに弱っているんです。現にこの前の日曜などにはあらかた市中を歩いて見ました。けれどもたまに明《あ》いていたと思うと、ちゃんともう約定済....
或る女」より 著者:有島武郎
すす》がれる事になった。この稀有《けう》の大《おお》げさな広告がまた小さな仙台の市中をどよめき渡らした。しかし木村の熱心も口弁も葉子の名を広告の中に入れる事はで....
義血侠血」より 著者:泉鏡花
たゆう》滝の白糸は妙齢一八、九の別品にて、その技芸は容色と相称《あいかな》いて、市中の人気山のごとし。されば他はみな晩景の開場なるにかかわらず、これのみひとり昼....
婦系図」より 著者:泉鏡花
酒井先生方の書生が主税に告げたのと、案ずるに同日であるから、その編上靴は、一日に市中のどのくらいに足跡を印するか料られぬ。御苦労千万と謂わねばならぬ。 先哲曰....
江戸か東京か」より 著者:淡島寒月
ヶ月の胎児の見世物がありましたよ。私は幾度も登ってよくその海女の眼や耳から、東京市中を眺めましたっけ。当時「蔵前の大人形さぞや裸で寒かろう」があった。「蛇使」と....
南地心中」より 著者:泉鏡花
るって言います……誓文払で、大阪中の呉服屋が、年に一度の大見切売をしますんでね、市中もこの通りまた別して賑いまさ。 心斎橋筋の大丸なんかでは、景物の福引に十両....
化銀杏」より 著者:泉鏡花
届きおれども、そこら煤ぼりて余りあかるからず、すべて少しく陰気にして、加賀金沢の市中にてもこのわたりは浅野川の河畔一帯の湿地なり。 園生は、一重の垣を隔てて、....
照葉狂言」より 著者:泉鏡花
二坪に足らぬ市中の日蔭の庭に、よくもこう生い立ちしな、一本の青楓、塀の内に年経たり。さるも老....
黒百合」より 著者:泉鏡花
々として出懸ける処、澄ましていたのが唐突に、しかも呼棄てにされたので。 およそ市中において、自分を呼棄てにするは、何等の者であろうと、且つ怪み、且つ憤って、目....
清心庵」より 著者:泉鏡花
折々かの山寺の井戸の水試みたるに、わが家のそれと異らずよく似たり。実によき水ぞ、市中にはまた類あらじと亡き母のたまいき。いまこれをはじめならず、われもまたしばし....
三枚続」より 著者:泉鏡花
の私に意見をしてくれろッて、涙を流して頼みましたぜ、この愛的の母親が、およそ江戸市中広しといえども、私が口から小可愧くもなく意見が出来ようというなあ、その役介者....
註文帳」より 著者:泉鏡花
でもうつりませんかい。」 その箱と盥とを荷った、痩さらぼいたる作平は、蓋し江戸市中|世渡ぐさに俤を残した、鏡を研いで活業とする爺であった。 淋しげに頷いて、....
欧米各国 政教日記」より 著者:井上円了
ーヨーク府中の寺院(ヤソ教会堂)、その主なるものおよそ五百棟ありという。しかして市中の人口百二十万なれば、二千四百人につき一カ寺の割合なり。フィラデルフィア府は....
西航日録」より 著者:井上円了
夕フランネルを適度とす。夜具はケット一枚にて足れり。ただし蚊帳を要す。カルカッタ市中は欧人街および土人街の二区に分かる。欧人街は西洋の市街に異ならず、土人街は不....
南半球五万哩」より 著者:井上円了
とする幾万艘をみつつ行く。ともづなをつなぎとめたのは植民州のはずれの岸であるが、市中の音や楼閣の姿がガラス窓を通して入ってくる。) たちまちにして見物案内者、....