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布地
「布地〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
布地の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「人間灰」より 著者:海野十三
の話がでたので周章てた。見廻すと、社長室の壁に、右足湖を含むこの辺一帯の購読者分
布地図が貼ってあったので、彼は盗聴器一式を両手で抱えて壁際へ移動した。 (……こ....
「母子叙情」より 著者:岡本かの子
ると、今度は、青年を自分の傍に掛けさせた。青年は痩せていて、前屈みの身体に、よい
布地の洋服を大事そうに着込んでいた。髪の毛をつやつやと撫でつけていることを気まり....
「河明り」より 著者:岡本かの子
のように部屋中一ぱい漲り溢れている。床と云わず、四方の壁と云わず、あらゆる反物の
布地の上に、染めと織りと繍いと箔と絵羽との模様が、揺れ漂い、濤のように飛沫を散ら....
「鞄らしくない鞄」より 著者:海野十三
まめかしい婦人の衣類を取出し、それを一々電灯の灯の近くへ持っていって眺め、指先で
布地を摘《つま》み且つ匂いを嗅《か》いだ。そして二種類に別《わ》けて積んでいった....
「崩れる鬼影」より 著者:海野十三
ーニングの上にたちまち白い弾丸跡を止め度もなく綴ってゆくのでした。とうとう洋服の
布地の一部がボロボロになって、銃火に吹きとばされました。 怪物の腹のところに、....
「大阪発見」より 著者:織田作之助
ッパで、それも黒門市場などで行商人が道端にひろげて売っているつるつるのポプリンの
布地だった。なお黒いセルロイドのバンドをしめていた。いかにも町の女房めいて見えた....
「巴里祭」より 著者:岡本かの子
と見え、夏の陽がぎらぎら此の巷に照りつけて来た。キャフェの差し出し日覆いは明るい
布地にくっきりと赤と黒の縞目を浮き出させて其の下にいる客をいかにも涼しそうに楽し....
「世界怪談名作集」より 著者:アンドレーエフレオニード・ニコラーエヴィチ
花聟の衣裳は磨り切れて艶々しい色も褪せ、荒野の悪い野良犬や尖った茨にその柔らかな
布地は引き裂かれてしまった。 昼のあいだ、太陽が情け容赦もなくすべての生物を焼....
「若草物語」より 著者:オルコットルイーザ・メイ
ウと相談して、型をえらび、材料をととのえて、スリッパをつくりはじめました。紫紺の
布地に、しなやかな三色すみれの花をおいたのが、たいそうかわいいと、みんながいいま....
「ガルスワーシーの家」より 著者:岡本かの子
せないような重苦しい状態の下に長くは我慢して居なかった。持参したインド土産らしい
布地などをガルスワーシー夫人に手渡しながら不平の交った荒っぽい賑やかさを残して客....
「ドーヴィル物語」より 著者:岡本かの子
何でも無いようで、あのローズ・ド・ラジェフって色、今までフランスのどんな腕の宜い
布地屋でも出せなかった色よ。それをあいつ、何時の間にか着ちまってる、何という魔も....
「余齢初旅」より 著者:上村松園
くられているのであろうかと思い、支那服を一着買うつもりになった。支那服や支那織の
布地を売っている専門店の売り場に私の気に入った服が二着並んでいたが、そのうち模様....
「審判」より 著者:カフカフランツ
る。そして女のベッドが空なのは、女がおれのものであり、窓ぎわのあの女、粗くて重い
布地の黒ずんだ着物を着た、あの豊満でしなやかで温かい肉体が、まったくただおれのも....
「金山揷話」より 著者:大鹿卓
いた棒杭が見出された。その林の青黒い枝々はすでにかなりの雪を積らせていて、飛白の
布地のように目を掠めてゆく。いうまでもなく、雪が急に降りだしたわけではなくて、汽....
「恐怖の幻兵団員」より 著者:大倉燁子
になっていた。細かく調べてゆくうちにほかの羽目板にも一つ私のオーヴァ以外の小さい
布地がささっているのを発見した。手にとってみると、白っぽいしまの絹地であった。同....