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希代
「希代〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
希代の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「婦系図」より 著者:泉鏡花
の毒だと思うと、この人物だけにいっそ口重になって、言訳もしなければ慰めもせずに、
希代にニヤリとして黙ってしまう。 と直ぐ出掛けようか、どうしようと、気抜のした....
「吉原新話」より 著者:泉鏡花
り。 後に話合うと、階下へ用達しになど、座を起って通る時、その窓の前へ行くと、
希代にヒヤリとして風が冷い。処で、何心なく障子をスーツと閉めて行く、……帰りがけ....
「国際殺人団の崩壊」より 著者:海野十三
翌朝の新聞紙は、一斉に特初号活字、全段ぬきという途方もない大きな見出しで、「
希代の科学者|鏖殺犯人|遂に捕縛せられる。犯人は我国毒|瓦斯学の権威椋島才一郎」....
「春昼」より 著者:泉鏡花
さえなさらなかったら、海に溺れるようなことも起らなんだでございましょう。 爰に
希代な事は―― 堂の裏山の方で、頻りに、その、笛太鼓、囃子が聞えたと申す事――....
「菎蒻本」より 著者:泉鏡花
ものでございます。」 と、もの言う都度、肩から暗くなって、蝋燭の灯に目ばかりが
希代に光る。 「疑うのが職業だって、そんな、お前、狐の性じゃあるまいし、第一、僕....
「化銀杏」より 著者:泉鏡花
、黒磨でもって、眉毛から眼へかけて、頬ッペたが半分隠れようという黒眼鏡を懸けて、
希代さね、何のためだろう。それにあのそれ呼吸器とかいうものを口へ押着けてさ、おま....
「政談十二社」より 著者:泉鏡花
といえば鼻が。」 「でございましょうね、旦那様。」 「高いんじゃあないな、あれは
希代だ。一体|馬面で顔も胴位あろう、白い髯が針を刻んでなすりつけたように生えてい....
「沼夫人」より 著者:泉鏡花
ソを掻いたり、ニタニタと笑ったり、キキと鳴声を立てたり、その中には鼠も居る。――
希代なのは、その隙間形に、怪しい顔が、細くもなれば、長くもなり、菱形にも円くもな....
「星女郎」より 著者:泉鏡花
琵琶を背負ったなり四這いになって木曾の桟をすらすら渡り越したという、それと一般。
希代な事には、わざと胸に手を置いて寝て可恐い夢を平気で見ます。勿論夢と知りつつ慰....
「怨霊借用」より 著者:泉鏡花
い。 そうした貴方様、勉強家でござりました癖に、さて、これが療治に掛りますと、
希代にのべつ、坐睡をするでござります。古来、姑の目ざといのと、按摩の坐睡は、遠島....
「化鳥」より 著者:泉鏡花
がないかわり、前に橋銭を受取る笊の置いてある、この小さな窓から風がわりな猪だの、
希代な蕈だの、不思議な猿だの、まだその他に人の顔をした鳥だの、獣だのが、いくらで....
「人形の話」より 著者:折口信夫
、沢の若菜を摘みて行ひ給ひける程に、一人の梵士出で来て、大王のかくて行ひ給ふこと
希代のことなり。御伽仕るべしとて仕へ奉る。 (宝物集第五) ありつる人のうつり来....
「荘子」より 著者:岡本かの子
れた麗姫はこのときまだこどもであった。天の成せる麗質は蕾のままで外へ匂い透り行末
希代の名花に咲き誇るだろうと人々に予感を与えている噂を秦王に聞かせるものがあった....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
あると思った日にゃ、狒々に人間の情婦が出来るとあきらめなけりゃなりません、へい、
希代なもんです。」とまた煽る。 「沢山おあがり、どうだね。」 「済みません、どう....
「註文帳」より 著者:泉鏡花
十八日、取りに来たのが二十日の朝、検べたのが前の晩なら、何でも十九日の夜中だね、
希代なのは。」 「へい、」と言って、若い者は巻煙草を口から取る。 五助は前屈み....