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「帯びる〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

帯びるの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
を見せなかった。彼は手早く靴《くつ》を穿《は》いて、頭椎《かぶつち》の太刀を腰に帯びると、老婆の挨拶には頓着なく、大股に洞外へ歩を運んだ。 微風は彼の頭から、....
「いき」の構造」より 著者:九鬼周造
夜子《さよこ》はも凄艶《せいえん》なれば秋にたとへむ」といっているような秋の色を帯びる傾向をもっている。要するに顔面における「いき」の表現は、片目を塞《ふさ》い....
忠直卿行状記」より 著者:菊池寛
や左太夫などの不埒者《ふらちもの》のいるために、自分の勝利が、すべて不純の色彩を帯びるに至ったのだと思うと、彼は今右近と左太夫とに対し、旺然たる憎悪を感じ始めた....
空襲葬送曲」より 著者:海野十三
よ」 「なーに、彼奴清二の二の舞いをやりかかってるんだよ。うちの子供は、不良性を帯びるか、さもなければ、皆気が弱い」 父親はウッカリ、平常思っていることを、曝....
天主閣の音」より 著者:国枝史郎
説明は音楽のような、快い調子を持っていた。 「花落ちて三週間、果実の表面が白粉を帯びる。その時鋭い匕首を以て、果実へ三筋切傷を付ける。この呼吸が困難しい。まず一....
愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
る、正しくしてやりたい。かくのごとき要求は、他人の生活に侵入してゆきがちな傾向を帯びるがゆえに、個人主義の主として支配している今の社会では、ことにしばしばおせっ....
東京要塞」より 著者:海野十三
ろは、第一に非常に早乾きがすること、第二に、固まってしまえば鋼のような強い弾力を帯びること、第三に耐熱性に富んでいるらしい非常に優秀な漆喰だった。すくなくとも市....
霊訓」より 著者:浅野和三郎
、決して私の思想ではなかった。間もなく通信の内容は、全部私の思想と正反対の性質を帯びるに至った。が、私は依然警戒を怠らず、書記中に他の問題に自分の考を占領させる....
獄中消息」より 著者:大杉栄
に及ばない。ことに遺った金と言ってもいくらもあるではなし、その処分は実際に責任を帯びる足下がいいように計っていい。僕は今まで、足下がただ責任だけあって、そして万....
夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
し込んで来て、幾年の風雨に曝らされて朽ちかかった縁板も、やがて人膚ぐらいの温みを帯びるようになる。 その温みを慕って来たものか、綴じ合せた縁板の隙間からちろち....
「太平洋漏水孔」漂流記」より 著者:小栗虫太郎
、渦はもとより求心性のものだが……きっとそれにつれ、うえの空気のうごきは遠心性を帯びるだろう。つまり、くるくる中心に巻きこむ渦の方向とは反対に、うえの湿熱空気は....
」より 著者:岡本かの子
のポストの傍で京子は改めて気急わしく四方を見廻す。 京子の眼が少し据って凄味を帯びる。丁度あたりに人影が無い。彼女は素早く右手で懐中から手紙らしいものを取出し....
青春の息の痕」より 著者:倉田百三
かいを伝えてきましたが、私は、そのようなたたかいは、いかに根の深い惨憺たる性質を帯びるものであるかを知っているだけに、私は少しもあなたをそれらの欠陥について責め....
チベット旅行記」より 著者:河口慧海
すか。それをぜひ言えと言うならばいわんじゃない。しかし言った以上の責任はあなたが帯びるという証明書に職務上の印を捺したものを貰いたい。そうすれば私は人を遠ざけて....
文章を作る人々の根本用意」より 著者:小川未明
る弊である。 修飾や誇張は、その人の思想感情が真に潤沢になり豊富になり、熱情を帯びるに至った際に初めて借りるべき一手法である。何等内部的の努力なしに、文章上の....